精神障害者の相続手続きは成年後見人をつけないでできるのか?【必ずしも必要ではない】

福祉サービスについての計画説明 成年後見人をつけない相続

精神障害者が相続人にいる場合、成年後見人等を立てずに相続をすることができるのか?

精神障害者が相続人の中にいる場合、状況によっては成年後見人等を立ててから相続をしなければならない事があります。

しかし、精神障害者が相続人の中にいる場合に成年後見人等を立てる必要があるかないかは精神障害者の方の状況によって変わります。「必ず成年後見人等が必要」というわけでは決してありません

ましてや、知的障害者の方が相続人に含まれる場合よりも成年後見人等を立てなければならない可能性は低くなる傾向があります。

知的障害者が相続人に含まれる場合よりも精神障害者が相続人に含まれる場合のほうが成年後見人等を立てずに相続ができる可能性が高い訳

知的障害者が相続人に含まれる場合よりも精神障害者が相続人に含まれる場合の方が成年後見人等を立てなくて良い可能性が高いのはなぜでしょう。

一般的に、知的障害は「先天的」、精神障害は「後天的」と分類されることが多いです。一部の障害では当てはまらないことがありますが、これらの分類方法は医療現場や障害者福祉の現場でも重要な判断材料とされています。

さらに、精神障害の病状によっては症状に「波」が見られるものがあります。例えば、パニックを伴う症状です。

日常的には精神疾患の症状が如実に現れることはありませんが、精神的にストレスがかかった時などに目立った症状が出てしまう方などです。

精神障害と認定されるまでは何一つ不自由無く生活し、誰からの支援を受けることなく暮らしてきた方が、何らかの原因で精神疾患が発生し、時折りパニック症状が出てしまうことがあるといったケースでは、成年後見人の必要性は低いでしょう。

もちろん、本人が成年後見制度による支援を希望していたり、生活を送る上で成年後見人等のサポートを受ける必要性がある場合は、成年後見人等の申し立てを行うメリットは十分にあります。

しかし、相続を行うためだけに成年後見人等を立てようとするのはよく考えたほうが良いと思います。

「専門家に成年後見人が必要と言われたから…」というご相談をよく受けることがありますが、先程のケースの場合ですと、相続のために成年後見人等をつける必要性は少ないと考えます。

成年後見人や保佐人、補助人は本人の「財産管理」と「身上監護」を行いますが、身上監護については大きな効果は期待出来ません

「看護」ではありませんから、実際の身上看護は訪問看護サービス機関などに行ってもらうこととなります。

訪問介護サービスやホームヘルプサービスは、地域の障害者生活支援センター等が相談窓口となり、手配を行ってくれます。本人やご家族の負担はほとんどありません。

成年後見登記されていないことの証明書を提出する

そのため、単独、またはご家族の支援があれば日常生活を送れる方の場合、成年後見人を立てる必要性は乏しいのです。

精神障害者の相続手続きに成年後見人が必要?

それでは、相続手続きに成年後見人等をつけることが必要と言われた方はどの点を考える必要があるでしょう?

先程の症状の例であれば、成年後見人等をつけずに相続手続きをすることは十分可能かと思われます。

障害者の相続分を0にする話し合い

精神障害には症状の「波」があることが多いと言いましたが、精神疾患の症状が出ていない状態が多い方であれば、症状が出ていない状態の時に遺産分割協議を行えばよいのです。

症状が出ていなければ健常者と変わらない判断能力を持っている、または持っていると推測できる方であれば、相続を行うためだけにわざわざ成年後見制度を利用する必要はありません。

成年後見の申し立てには長い期間と多くの費用がかかります。相続のためだけに成年後見人等をつけてしまうと一生涯成年後見人等はついたままとなり、永遠に費用がかかってしまいます。

成年後見人にかかる多額の報酬

相続手続きに成年後見人をつける必要が無ければ無理してつけずに、今まで通り本人の能力とご家族等のサポート等で生活を送っていくことができるのです。

遺産分割協議時には動画などの記録がおすすめ!

意思能力や判断能力がある方は、有効に遺産分割協議をすることができます。逆に言えば、意思能力や判断能力が無い方の行った遺産分割協議は無効となってしまいます。

それでは遺産分割協議を行った時はしっかりした意思能力や判断能力があったということを証明したい場合はどのようにすれば良いでしょう。

後々遺産分割協議が無効とならないように強い証拠が欲しければ、「遺産分割協議の録画」が有効だと考えます。遺産分割協議時や遺産分割協議書への署名、押印時に本人がしっかりと話を理解し、納得していることを映像で証明できれば強い証拠となります。

録画より証拠力は下がりますが、録音しておくことでも有効性はあります。

これらの対策であれば、ご家庭で簡単にできますし、費用も特にはかかりません。遺産分割協議の内容に揉める点がなければ、わざわざ公証人を頼んで公正証書にする必要もないでしょう(確実な証拠力を求めるため公正証書にすることも可能です)。

大切なのは「遺産分割協議の無効」が誰かによって主張された時に、対応できるかということですので、家族間のトラブルが無いか、財産の分け方は皆が納得するものであるかなどを十分考慮しましょう。

精神障害者が相続人に含まれる場合の相続手続きは行政書士花村秋洋事務所へご相談を!

行政書士花村秋洋事務所では、障害者の相続を専門に取り扱っております。精神障害者の方が相続人に含まれる場合の相続については、一度当事務所にご相談することをおすすめいたします。

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