成年後見人にかかる費用は若いほど多い!【1000万円以上の差がでることも】

成年後見人にかかる多額の報酬 障害者相続のお役立ち情報

成年後見人にかかる費用は若ければ若いほどかかる

意思能力や判断能力が無い方には成年後見人が必要となることがありますが、成年後見人には当然報酬を支払う必要があります。

成年後見人をつけることでかかる費用は「成年後見人選任の申し立てにかかる費用」「成年後見人に支払う毎月の報酬」、その他「特別の費用」です。

成年後見人は一度就任すると原則辞めることはできません。本人がやっぱり成年後見人をつけることをやめたいと言ってもやめることはできなくなります。ということは一生成年後見人に報酬を支払わなければならないということになります。

そのため、成年後見人にかかる費用は「若ければ若いほどかかる」と考えて良いでしょう。高齢の認知症と若年の知的障害者での成年後見人にかかる費用を比較すると明らかに違いが出るでしょう。

今回は成年後見人にかかる費用について、早期につけることの危険性を含めて解説したいと思います。

知的障害者の成年後見人にかかる費用を就任のタイミング別にシミュレートする

認知症の方に成年後見人がつくよりも、知的障害者に成年後見人がつく場合の方が成年後見人にかかる費用が高くなることはお伝えしましたが、成年後見人をつけるタイミングによってのかかる費用をシミュレーションしてみたいと思います。

【成年後見人をつけるタイミングについての解説動画】

20歳になった時から成年後見人をつけた場合

人は20歳になると、法定代理人の管理下から離れ、自分自身で契約行為などを行うことになります。

しかし、20歳になっても自分自身で契約等を行うための意思能力や判断能力が無い場合、代わりに契約等を行う者が必要となります。それが成年後見人や保佐人、補助人です。

そのため、20歳になってから福祉サービスを利用する場合や利用している福祉サービスを継続する場合には成年後見人等の選任が必要となります。

20歳から成年後見人をつけて70歳まで本人が生きたとします。成年後見人申し立てにかかった費用が20万円、成年後見報酬は平均月3万円としましょう。

年間36万円の報酬支払いが50年間続くため、1800万円+20万円+αがかかります。約2000万円の費用がかかってしまう。これが最も成年後見人に関する費用がかかってしまうタイミングとなります。

相続が発生した時から成年後見人をつけた場合

親などが亡くなり、相続が発生すると遺産分割協議が必要となる場合がほとんどです。

意思能力や判断能力の無い者が行った遺産分割協議は無効となります。そのため、有効な遺産分割協議書を作成し、財産を移転するためには成年後見人等の選任が必要となります

知的障害者のある方の父親が亡くなったとします。本人が35歳の時でした。法定相続分で考えた相続財産が5000万円と高額で、不動産や投資信託、証券などのテクニカルな管理が必要な財産だったとしましょう。

成年後見人に支払う報酬は本人の財産によって決定されますので、毎月の支払いが5万円以上になる場合もあります。今回は4万円と設定します。

すると、年間48万円×35年間(70歳に亡くなったと仮定)。1680万円+20万円+αが成年後見人にかかる費用となります。

家族が全て亡くなり、本人の世話をする者がいなくなってから成年後見人をつけた場合

両親や兄弟などの家族が亡くなり、本人の生活にかかる世話をする者がいなくなった場合、福祉施設への入所が考えられます。

本人が契約を行えず、また代わりに契約のサインをしてくれる家族もいない場合、成年後見人等の選任が必要となります。

両親が亡くなり、兄も亡くなった時の本人の年齢が65歳だったとしましょう。毎月の成年後見人への報酬は3万円とします。

すると、年間36万円×5年(70歳に亡くなったと仮定)で180万円+20万円+αが成年後見人にかかる費用となります。

早くから成年後見人をつけると莫大な費用がかかってしまうというのが成年後見制度の欠陥

上記3例を比較すると(成年後見人の特別の支出分「αの部分」は省きます)、

20歳から→1820万円

相続から→1700万円

家族が亡くなったら→200万円

と大きな差が出ることが分かると思います。

成年後見制度の大きな欠陥は、「知的障害者が法の想定する時期に成年後見制度の利用を開始してしまうと莫大な費用を支払うことになる」ということです。一般的には認知症高齢者が利用するものという認識が強いため、若年から利用することで莫大な費用がかかってしまうということはあまり知られていないのです。

もちろん成年後見制度が発展していくためにはしっかりとした報酬が支払われなければなりません。

しかし、「親や家族が本人の財産管理や身上監護ができるのに新たな第三者を雇う」というおかしな図式になってしまうと納得がいかないということになるでしょう。

国はこれらの問題を鑑み、成年後見人に関する方針を真逆に転換しだしました。専門家後見人よりも家族後見人を推進するようになったのです。

しかし、運良く家族が後見人になれたとしても後見人監督人がつくことになったり、裁判所の指示の元で支出を制限されたりしてしまう場合もあり、また成年後見事務も大変煩雑なものとなります。

結局は、今まで家族が本人のために行えることが行えなくなる、または制限されるということになり、家族状況によってはデメリットが勝ってしまうのです。

成年後見人をつけるタイミングでかかる費用を節約できるという矛盾

では、先程の3つの例を見て、おかしいなと思った点はないでしょうか。

本来成年後見制度は本人や家族の希望で利用するタイミングを決められるものではありません。

「症状が一定のものとなった時」または「20歳になった時」です。知的障害者の場合、ほとんど全てが後者となるでしょう。

しかし、世の中の現状はそうではありません。多くの家庭で「相続が発生した時」から成年後見制度を利用することになるでしょう。

しかし、費用の面で最も良いのは「家族が亡くなり本人の世話を見られる者がいなくなった時」です。このタイミングで成年後見人をつけることが費用の面でも事務負担の面でもベストと言うことができるでしょう(家族の状況によります)。

知的障害者のいるご家庭がこのタイミングで成年後見人をつけるのはなかなか難しいでしょう。相続が発生した際に銀行や専門家から「成年後見人が必要です」と言われてしまうからです。

銀行の受付で成年後見人が必要と言われる

成年後見人にかかる費用についてのまとめ

成年後見人にかかる費用についてのまとめです。

  1. 成年後見人にかかる費用は「若ければ若いほど高い」
  2. 成年後見人をつけるタイミングを大きく分けると「20歳」、「相続から」、「家族が亡くなったら」の3つ
  3. 知的障害者の方は「相続発生時」に成年後見人をつけられてしまう
  4. 家族が亡くなった時に成年後見人をつけることが費用面で一番メリットがある

成年後見人にかかる費用を節約したい場合は知的障害者に理解のある専門家へ相談を!

相続手続を成年後見人無しで行うのは知的障害者に理解のある専門家の協力が必須となります。多くの専門家は「相続」の専門家であり、「知的障害者の相続」の専門家ではないからです。

知的障害者が相続人に含まれる場合の相続手続については行政書士花村秋洋事務所にご相談ください。本当に成年後見人が必要なのはいつなのか。ご家族の状況をよく勘案し、ケースごとのアドバイスができると思います。

成年後見制度を利用する前にぜひ一度ご相談を!新たな方法をご提案できるかもしれません!
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