障害のある子を持つ親専用エンディングノートとは?
この度、行政書士花村秋洋事務所から「障害のある子を持つ親専用エンディングノート」が発売されました。

障害のある子を持つ親専用エンディングノートとはどのようなエンディングノートなのかというと、文字通り、障害のある子を持つ親「だけ」が使えるエンディングノートです。
障害のある子を持つ親が、その子のために必要な情報と、残された家族のために必要な情報が記せるような内容になっています。

今回はこの「障害のある子を持つ親専用エンディングノート」を発売した理由と、その内容および使い方について説明したいと思います。
障害のある子を持つ親のための情報やツールが少ない!
現在発売している「成年後見人をどうしてもつけたくない人が手にする本」は、累積1000部を突破しました(令和7年8月現在)。
一般の書店には置いていないという状況でも、これだけの方が手に取ってくれたことには著者の私も驚いています。
逆に言えば、障害のある子を持つ親が欲しがる情報が一般に出回っていないということだと感じました。
世の中には「成年後見人をどうやってつけるか」という情報は多いのですが、成年後見人をつけたくない人が欲しい情報はあまりにも少なすぎます。

現状でも、自ずから家族に成年後見人をつけたいと思っている人はあまりいないはずです。
もちろん成年後見制度は、本人を守るための最強の制度ですので、有効活用できることが理想ですが、市民のニーズに情報が追いついていないという歯がゆい現状にあるのです。
また、現在世に出回っているエンディングノートは内容も充実している反面、非常に複雑で書くことにストレスを感じてしまう方も多いと思います。
そのため、シンプルながらも障害のある子のいるご家庭に有用な情報を記せるツールが必要だとも感じていました。
障害のある子を持つ親がやっておかなければならないことは?
前述の「家族に成年後見人をつけたくない人」はもちろんのこと、「障害のある子を持つ親がやっておかなければならないこと」についての情報が足りていない現状を踏まえ、今回のエンディングノートを発売することになりました。
このノートは、障害のある子を持つ親がやっておかなければならないことを知るきっかけにしてもらえることを狙いとしています。
もちろんエンディングノート本来の機能である「残された家族に必要な情報を提供する」ということについても「障害のある子を持つ親」専用になっています。

障害のある子方がいる家庭では、その他の家庭と異なることが多くあります。
例えば、現在の日本では、遺言を作成する人はほとんどいません。
逆に言えば、遺言を作成する必要性が乏しいからです。
家族の仲が悪かったり、相続で問題が生じるに可能性がある場合などでなければ、遺言が必須になる場面は少ないのです。

一方、障害のある方が相続人となるケースでは遺言が必須になる場合が多くあります。
それは「成年後見人」や「財産の凍結」などの問題が生じてくるからです。
例えば、知的障害や精神障害があるというだけで、相続手続きに成年後見人を求められますし、その方をきっかけとして家族の財産の自由度は著しく低下します。
そのため、障害のある子を持つ親は遺言を作っておかないと後々大変なことになってしまう可能性が高いのです。
障害のある子を持つ親専用エンディングノートの内容
ということで、障害のある子を持つ親には、その他の親とは異なるエンディングノートが必要になります。
このエンディングノートは一般に販売されているエンディングノートと何が違うのかということについて説明したいと思います。
残された障害のある子に特化した項目
このノートの特徴は、残された障害のある子に特化した内容になっていることです。
例えばこのノートでは、
- 障害のある子についての情報
- (親からみて)子のいない兄弟の把握
- 銀行の暗証番号記載欄(任意)
などが他には無い特徴的な項目になっています。
障害のある子についての情報は、障害のある子をメインでみていた親が亡くなった時、他の子(障害のある子の兄弟姉妹)にとって有用な情報になります。

親が亡くなって、健常の兄弟が障害のある子をみていくこととなった場合、障害のある子についての情報をあまり知っていないことが多くあります。
特に健常の兄弟が結婚して離れて暮らしていた場合、障害のある子の銀行口座はどこにあるのか、かかりつけ医は誰なのか、施設の担当者は誰なのかなどを把握することはかなりの手間になります。
そのような場合でも、このノートを一目見れば全てを把握できてしまうというわけです。
また親から見て、子のいない兄弟姉妹の存在は、相続の際に大きな影響を受けます。
障害のある子が甥や姪にあたる場合、叔父、叔母の死亡により成年後見人をつける必要が出てきてしまうためです。
親の生前からそのようなリスクをなくすためにどのような対応を取ればよいかを考えるきっかけとなります。

銀行口座の暗証番号は、一般にはエンディングノートに書くことはありません。
しかし認知症や障害が関係する場面では、残された者が把握しておくと非常に助かる場合があるため、任意記載事項として欄を設けています(取り扱いには十分注意してください)。
以上のように、他のエンディングノートとは異なる視点での記載事項を設けているため、「障害のある子がいる親専用のエンディングノート」と謳っているのです。
逆に、障害のある子がいない人にとってはあまり効果的なものではないため、一般のエンディングノートを使用していただくのをおすすめします。
親なきあと対策のきっかけに!
エンディングノートというものは、情報や希望を記すだけのものであり、法的効果をもたらすものではありません。
そのため、エンディングノートを残しておくだけでは対応できない問題も多々あります。
しかしエンディングノートは書く人本人が生きているうちに活かせるものです。
エンディングノートを作成している中で、今まで気付かなかった問題に気付き、行きているうちに対策を検討できる。そのような活用方法が最も理想的と言えます。

障害のある子を持つ親御さんで、エンディングノートを作ろうと決意された際には、ぜひこのノートをご使用ください。
エンディングノートの形式と販売ページ
冊子版:アマゾンで「ペーパーバック」という形式で販売しています。
データ版:データ形式でも購入できます。印刷してご夫婦でそれぞれがお使いいただくことも可能です。