行政書士花村秋洋事務所に相談が多い困難な問題
今回は相続放棄についての問題についてお伝えしますが、この問題については当事務所への相談が非常に多い事例となります。
しかし現段階では最終的な問題解決方法が無いという結論となっているため注意が必要です。
条件としては、
- 配偶者と離婚しているまたは離婚しようとしている
- 離婚した配偶者に借金がある
- その配偶者の子を引き取っている
- 子が成人している
の4つです。
これら全てに該当されている方は、これからお伝えする困難な状況に直面しているという認識を持っていただければと思います。
意思能力が無い障害者では相続放棄ができない
では前述した1〜4の状況から陥る可能性がある問題をお伝えします。
例)離婚した夫が無くなりました。どうやらかなりの借金があるそうです。
すでに離婚しているため、元妻は相続人には当たりませんが、離婚した夫との子は法定相続人に該当します。
「借金があるなら相続放棄させればいいや」と司法書士に依頼しましたが、司法書士からこう言われてしまいました。
「相続放棄するには成年後見人をつけてください。」
相続放棄は家庭裁判所に相続放棄申述書という書類を提出します。しかしこの相続放棄申述書は当然意思能力が無い者が作成や提出をすることはできません。
成人しているため、親が代理して申請することもできません。
となると、成年後見の申立を行い、成年後見人が相続放棄申述書を提出するしかなくなってしまうのです。
成年後見人を若くしてつけるデメリット
成年後見人を若くしてつけることにはデメリットもあります。
当事務所からもアナウンスをしていますが、最も気になるのは「費用」の問題でしょう。
例えば500万円の借金を放棄したかったのに、成年後見人を若くしてつけてしまった場合には支払う額が借金額を遥かに超える可能性もあります。
本末転倒な結果となってしまいますが、これも成年後見制度の大きな欠陥の一つと言えるでしょう。
根本的な解決方法が無い
当事務所でもこのようなケースでのご相談が多いため、解決方法を探っておりますが、根本的な解決方法が無いというのが現状です。
・離婚をしない
・離婚した配偶者には早めに借金を返済してもらう
・離婚した配偶者に破産手続きをしてもらう
・離婚した配偶者に子の相続廃除手続きをしてもらう
などは考えられますが、いずれも無茶な話です。
離婚した配偶者にはできるだけ長生きしてもらえば成年後見人をつける期間は短くなりますので、それを願うしか無い状況となります。
その他の方法は「遺産分割協議書での相続手続き」だが…
別の方法として考えられるのは、遺産分割協議書による相続分の放棄です。
しかしこれは家庭裁判所への相続放棄とは全く別物の手続きです。
まず意思能力があり、遺産分割協議を行える状態でなければならないということが一つ。
そして借金の有無や額を確実に把握しておかなければならないという難しい問題もついてきます。
そもそも遺産分割協議ができる意思能力があれば相続放棄も行えるでしょうから、これも現実的ではありません。
成年後見人をつける場合は3ヶ月を超えても大丈夫?
成年後見人をつけて相続放棄を行う場合はあまり慌てないほうが良いでしょう。
というのも、意思能力が無い者は相続放棄のための熟慮期間が適用されない可能性が高いからです。
そのため「成年後見人の手続きが1ヶ月〜2ヶ月かかるから…」と急ぐ必要はありません。しっかり考えてから行動に移しましょう。
相続放棄ができずにどうしようも無くなった場合は…?
相続放棄ができずにどうしようもなくなった場合は、当事務所へご相談いただくというのも一つの手段です。
相続放棄はケースによって違いがあり、場合によっては打開策があるかもしれません。
また連携している司法書士もおりますので、もし成年後見人をつけなければならない場合にもそのデメリットについて説明いたします。
障害者の相続放棄の問題に直面してしまった場合は、まずは慌てずに状況をお話いただければと思います。