簡単にできる最低限かつ最強の障害者相続対策は【自分の名前を書く練習】!?

障害者相続のお役立ち情報

誰でも準備出来るがやっておかないと困る障害者相続の対策は?

親なきあと問題という言葉が多く聞かれるようになっていますが、その親なきあと問題に含まれる大きな問題の一つが「障害者の相続」です。

ここでの障害者の相続とは、「相続人に障害者が含まれる場合の相続手続き」のことを指しますが、ここで大きなトラブルを起こしてしまうご家庭が後を絶ちません。

障害者の相続については色々な対応方法があり、このホームページでも様々な情報を提供しております。

今回は誰でも準備できることではあるが、やっておけば問題解決でき、やっておかないと大変なことになってしまう場合があるという一つの事柄についてお伝えします。

簡単にできる最低限かつ最強の障害者相続対策は【自分の名前を漢字で綺麗に書く練習】!?

これを聞くと、「なぜそんなことが相続対策になるの?」と思われるかもしれません。

しかし、この「自分の名前を漢字で綺麗に書く練習」というのは非常に重要です。

なぜなら、この自分の名前がうまく書けるか書けないかで「成年後見人をつけるかつけないか」までに影響してしまうことが多々あるからです。

まずは自分の名前がどの程度書けるか確認してみる

障害のあるお子さんをお持ちの親御さんは、まず自分の子がどの程度自分の名前を書けるかを確認してみましょう。

「そんなの書けるに決まってる」という方、ではその字はどの程度上手に書けているでしょうか。それも含めて確認しておくことが重要です。

程度としては、

①綺麗に書くことができる

②うまくは書けないがはっきりと文字を認識をすることができる

③文字の判別が難しい

④全く書けない

のように分類できるかと思いますが、①と②であればとりあえず安心です。

「文字の判別が難しい」、「全く書けない」は要注意!

では③と④の「文字の判別が難しい」、「全く書けない」といった場合はどうでしょう。

その場合は「何らかの対策を取る必要がある」と考えます。

ちなみに文字を判別できるというのはあくまでも「第三者から見て」と考えてください。

誰が見ても文字を判別できるということが必要となります。

なぜ自分の名前を書けることが重要なのか?

おそらく障害者の相続対策で「自分の名前を書くこと」に重きを置いている者はほとんどいないと思います。

しかし、私は経験上この「自分の名前を書ける」ということを最重視します。

ではなぜ自分の名前を書けることが重要なのでしょうか?

自分の名前がうまく書けないと遺産分割協議書の署名が認められないことがある

重要なのがこの点です。自分の名前を書くという機会は遺産分割協議書等への署名のタイミングで訪れます。

そしてそれは誰に対して認めてもらうかというと、「銀行」や「法務局」に対してです。

銀行の受付で成年後見人が必要と言われる

「この遺産分割協議書は有効ですよ」ということを銀行や法務局に認めてもらう必要があるのです。

署名に懐疑がかけられた場合

もし遺産分割協議書の署名欄が判別出来なかった場合、どのような弊害があるでしょう。

それは、「本来つけずに済んだ成年後見人をつけなければならなくなる」という大きな弊害です。

知的障害者には成年後見人をつけるのが一般的

もしご自分のお子さんが、「知的障害ではあるが意思能力はある」といったケースの場合、本来相続の際に成年後見人は必要ありません。

しかし、遺産分割協議書の署名が判別できなかったり、全く書けなかったりした場合には最悪銀行や法務局から成年後見人が必要と言われてしまう危険性があるのです。

もちろんそう言われた場合でも、「意思能力あり」という医師の診断書がもらえれば問題ありません。しかし、銀行や法務局からそう言われたと言ってかかりつけの医師から診断書をもらいに行った場合は相当にリスクが高いと考えられます。

なぜなら、医師には「意思能力無し(または不十分)」と診断するバイアスがかかるからです。

銀行、ましてや法務局から懐疑がかかったわけですから、何らかの診断を下す必要があります。そのため、成年後見類型に該当しなくても、「保佐」や「補助」の類型に該当するという診断書を書かれてしまう可能性が非常に高いのです。

診断書を書かれたら最後だと思ってください。家庭裁判所でも医師の診断書が大きな決定権を持ちますから、実質はその類型で制度を利用しなければならないと決定されたようなものです。

成年後見制度を利用するということは、これからその子は一生費用を払い続けなければならなくなりますし、親が子の財産管理をすることは出来なくなります。ましてや子が受ける福祉サービスの方針にも口を出せなくなってしまう場合があるのです。

自分の名前が書ける程度による個別の対策

ということで、自分の名前がしっかりと書けるか書けないかということは時に最も重要になると言うことができます。

では、前述した③や④の場合はどのような対策を取るべきでしょうか。

自分の名前が全く書けない場合

まず④の「自分の名前が全く書けない」場合は、自分の名前を書くことは諦めたほうが良いかもしれません。

その場合は相続手続きで「自分の名前を書かなくすれば良い」のです。

どうすれば相続手続きで自分の名前を書かなくするのかというと、「遺産分割協議書自体を不要とさせる」。すなわち「親が遺言を残すこと」です。

遺言は遺言を書いた者の意志を最優先させます(遺留分という相続人の最低限の権利を保証する制度もあり)ので、原則受遺者の同意や署名は要りません。

そのため、遺産分割協議書無しで相続手続きを終えることが可能なのです(遺言の内容が財産全てについて書かれていた場合)。

自分で遺言を書く「自筆証書遺言」の場合は費用も軽微ですので、まずは遺言を早めに作っておくことを考えましょう。

文字の判別が難しい場合

文字の判別が難しい場合、これも前述した「遺言」をまず考えておくべきです。

しかし同時に「自分の名前を書く練習をする」という対策も取っておきましょう。

もし親御さんが遺言を検討しているうちに不慮の事故遭って亡くなってしまった場合に大変困ることになるからです。

遺言を作成するまでには少なからず時間がかかります。一人で完全な自筆証書遺言を作成することができれば一日とかからないかもしれませんが、専門家に依頼する場合や法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する場合などはかなりの時間がかかることと思います。

その点、文字を書く練習であればすぐに取り掛かることができます

障害の種別やお子さんの性格によっては、自分の名前を無理に書かせることにより拒絶反応やパニックを起こす可能性もあると思いますので、楽しく練習できるよう工夫すると良いと思います。

自分の名前を書けるか書けないかで親が取るべき対策方法は変わる

以上のように、子が自分の名前を書けるか書けないかで取るべき親なきあと対策が変わってくる場合があります。

特に自分の名前が全く書けない場合は遺言等の対策を取ることが必須となるケースがあります。

署名が全く書けない場合や不安がある場合は、早めの対策を考えることが必要ですので、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

成年後見制度を利用する前にぜひ一度ご相談を!新たな方法をご提案できるかもしれません!
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