障害者控除等で相続税を節税しても意味の無いケース【根本の問題が解決できない】

障害者相続のお役立ち情報

障害者控除で相続税を節税しても意味が無くなってしまう事例が多発!

現在、「障害者の相続対策」という言葉でインターネット検索を行うと「障害者控除で節税に成功!」といった記事がたくさん出てくることでしょう。

もちろん障害者控除は相続税を節税できる大変強力な制度です。

障害者控除を受けられる相続とは

相続財産が2億円を超えていても、障害者控除及びその他の控除を活用して相続税をゼロにすることができた事例もあります。

しかし、障害者控除で相続税を控除しても全く意味が成さなかったという例も多くあります。

これは、根本の問題が全く解決されていないことによります。

節税した額がそのまま国にいくこともある?

「節税した分の額がそのまま国にいくことなんてあるの?」とびっくりされる方もいらっしゃると思いますが、確かにそういった事例はあります

例を2つ挙げてみます。

障害者控除などの相続税対策しか考えていない場合

①父、姉、弟の3人家族。母はすでに他界しており、弟には知的障害があります。

とある日、父が急死してしまいました。

相続財産の総額は1億5,000万円。障害者控除やその他の控除を利用して700万円の節税に成功し、姉と弟は大喜びしました

しかし、銀行から言われるがままに知的障害のある弟に成年後見人をつけることにしました。

成年後見人と姉による遺産分割協議が行われ、相続財産は法定相続分に従い姉と弟で7,500万円ずつ分け合うこととなりました。

弟の財産は成年後見人が管理しているため、特に大きな支出もなく、先に亡くなった姉の相続分も加えられて1億円を所有したまま亡くなりました

弟の財産1億円は相続人がいないため、国庫に帰属することとなりました

成年後見人対策を優先して考えていた場合

②先程の①と同じ家族構成です。父が急死しましたが、父は「姉に全財産を相続させる」という旨の遺言を残していました。

姉は遺言通り相続財産を全て受け継ぎ、知的障害のある弟には相続財産は渡りませんでした。そのかわり弟に成年後見人をつけずに姉が面倒を見ることにしました。

弟は遺留分も主張しませんでしたので、障害者控除は使えません。相続税を500万円納付しました

【障害者控除を使えるよう遺産の分配を調整することもできます】

相続税の障害者控除を受けるために財産を分ける場合は現金が良い?
相続税の障害者控除は非常に強力な制度であり、その活用は必須と言えるでしょう。しかし、障害者控除を受けるためには対象となる障害者への相続分を0にしてはなりません。ここでは、障害者控除を受けるためには現金が良いという理由について解説しています。

20年後、姉は高齢となりこのままでは財産が使い切れないと判断したため、親戚達に贈与税がかかることを承知で1億円を生前贈与し、「弟をよろしく」と託して亡くなりました。

親戚達は知的障害のある弟を交代で面倒をみました。弟は障害年金でほとんどの生活費をまかなえていましたが、足りない分は親戚が補填していました。

弟はほとんど財産を残すことなく亡くなりました

結果、親戚達は姉から遺贈された財産を子や孫に承継していきました。

相続税の節税分の何倍もの額を国に渡す不条理

①と②の例を挙げましたが、もはや比較とならないどころか、相続税を節税する意味すら感じることができないレベルの差となってしまいました。

ということは、上記のパターンの家族には「相続税を節税することよりももっとやらなければならないことがある」と言えます。

それは、財産を凍結させずに相続を行うということです。

成年後見人をつけた時点で財産の有効活用は難しくなります。そして使い切れないお金がそのまま国庫に帰属してしまうことだってあるのです。

それを防止することができれば、自由に財産を活用することができます。

本人の口座から家族が出金する

当事務所では、「障害のある者が相続人に含まれる家庭」では相続税対策よりも遥かに先に「成年後見人対策」を考えなければならないという方針です。

「障害のある子が相続人なんですけど…」と相談に来た依頼者に「それなら障害者控除が使えますよ!良かったですね!」だけでは家族を救えないケースが多々あることを知っている専門家は少ないものです。

まず何よりも先に成年後見人対策を考え、そこをクリアして初めて障害者控除の検討に移るというのが大前提の流れなのです。

成年後見人をつけない相続
「成年後見人をつけない相続」の記事一覧です。

当事務所では、家族の将来までを考えた相続を心掛けています。その上で連携している税理士や司法書士とチームでご家族の支援に取り組んでおりますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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