知的障害者と遺産分割協議書を作る際の注意点とポイントを解説します!

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知的障害者と遺産分割協議書を作る際に注意することと円滑に手続を進めるためのポイント

知的障害者が相続人に含まれる場合、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する際には十分注意が必要です。

また、将来トラブルの危険性を回避するためには抑えておきたいポイントがあります。

今回は、知的障害者が相続人に含まれる場合の遺産分割協議書の作成についての注意点とポイントを解説します。

知的障害者の少年

※この記事の内容は成年後見人を立てずに相続をすることを前提としています。

相続人に知的障害者が含まれていることを銀行に知られないこと!

まず、相続手続きの始めの段階であり、最も重要な注意点から説明します。

被相続人が亡くなり、相続が開始しても、銀行に当然に知られるわけではありません。しかし、何らかの理由で相続が発生したことを銀行に知られると被相続人の銀行口座はすぐに凍結します。

その時の注意点としては、「相続人の中に知的障害者がいるということを銀行に知られないこと」です。

間違っても「うちの子は知的障害があるんでどうやって相続したら良いですか?」なんて聞いてはいけません。また、知的障害のある方と一緒に窓口に行ってもいけません。

なぜなら、相続人の中に知的障害者がいることを銀行に知られると、間違いなく「相続手続きには成年後見人が必要です。」と言われてしまうからです。

銀行は、知的障害の症状や程度も聞かず、杓子定規に「成年後見人がいないと相続手続きはできない」と言います。知的障害の程度が軽く、成年後見人を立てずに遺産分割協議が行える場合にも成年後見人が必要と言ってくるのです。

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まずは銀行にはこちらから話さず、先に遺産分割協議を進めることを考えましょう。銀行に手続に行く場合は専門家などの第三者を用いるのも効果的です。

知的障害のある者が署名を行うことができるかどうかがポイント!

知的障害者が相続人に含まれる場合の一番のポイントとなるのが、「知的障害のある者が自分の名前を漢字で書けるかどうか」です。

遺産分割協議書には、相続人の署名と押印を行わなければなりません。

法的には「記名(パソコン打ち)と押印」で良いのですが、銀行は本人の署名を求めてくることがほとんどです。

そのため、知的障害のある者が遺産分割協議書に自分の名前を漢字で書けるかどうかが一番のポイントとなってくるのです。

遺産分割協議書の作成についての注意点とポイント

それでは、次に遺産分割協議の内容についての注意点とポイントです。

相続税の障害者控除を利用する場合には知的障害者の相続分を0にしないこと!

相続税の算定には、「障害者控除」を使うことができます。

「(85歳−現在の年齢)×10万円(重度障害者は20万円)」が障害者本人の相続税から引かれます。また、相続税の額が低く、本人分から引ききれなかった分は一定の家族にかかる相続税から引くことができるため、大変強力な制度です。

しかし、障害者本人の相続分が0の場合、障害者控除の制度自体が使えません

相続税の障害者控除を受けるために財産を分ける場合は現金が良い?
相続税の障害者控除は非常に強力な制度であり、その活用は必須と言えるでしょう。しかし、障害者控除を受けるためには対象となる障害者への相続分を0にしてはなりません。ここでは、障害者控除を受けるためには現金が良いという理由について解説しています。

そのため、相続財産が基礎控除を超える場合は、知的障害者の相続分を0にするのは避けたほうが良いでしょう。

遺産分割協議の無効を主張された場合を想定した財産移転を行うこと

意思能力や判断能力の無い者が行った遺産分割協議は無効となります。

もし無効が誰かによって主張された場合は遺産分割協議のやり直しなどを行わなければならなくなってしまう可能性もあります。

しかし、知的障害者が遺産分割協議を行う場合、意思能力や判断能力が有るのか無いのかはっきりしないといった状況にあることも多いでしょう。

今後、何らかの理由で成年後見人などが選任された場合、その成年後見人が遺産分割協議の無効を主張してくる可能性もあります。その際に、遺産分割協議の内容や、どうしてその内容にしたのかなどをしっかりと説明でき、また簡単に財産を移転させるよう工夫しておくことがポイントになります。

本人保護を説明できる遺産分割協議と財産移転の例

父が亡くなり、母と姉、妹の三人が相続人だったとします。妹には知的障害があり、本人が財産を活用できないため、母と姉が不動産と預貯金のほとんどを相続し、妹は生活に必要な最低限の金銭を相続するといった内容の遺産分割協議書を作成しました。

そのとおりに財産の移転を終えた後、何らかの理由で妹に成年後見人がついたとしましょう。そして成年後見人はかつて行われた相続について「妹の相続分が少ない」と主張してきました。

姉が多く取得していた預貯金は別口で口座を作っておきます(姉名義)。そして、妹の生活に関する費用を支出しておきます。成年後見人が遺産分割協議の無効を主張してきた場合、「相続で多く預かっていた分は妹の生活費に充てるものであり、実際にそこから妹の生活費を支払っていた。そして残額はいつでも返還するつもりである。」と言うのです。

その額が法定相続分で遺産を分け合った場合の妹の取り分と近かった場合、成年後見人には訴訟を起こすメリットは無くなります。そのため、残額の返金で済まそうとする成年後見人が多いでしょう(あくまでも成年後見人の判断となるため、結果は一律とはなりません)。

このように、遺産分割協議書を作成する場合には、本人保護を説明できる遺産分割内容と財産移転を行っておくことが重要なポイントとなります。

相続手続きを任せる専門家選びに注意!

相続手続きには、遺産分割協議書の作成と預貯金の移転の他にも、不動産移転登記や相続税の申告などがあります。それらを自分達だけで行う家庭は少ないと思います。

しかし、知的障害者が相続人に含まれている場合は、相続手続きを依頼する専門家選びに注意が必要です。

ほとんどの専門家が「成年後見人等をつけましょう。」と言うか「相続手続きの依頼を断わる」のどちらかだと思います。

知的障害者に対しての知識と理解のある専門家はほとんどいません。また、知的障害者の相続手続きを経験したことのある専門家は少ないため、無難に成年後見人をつけて相続を行いたい専門家がほとんどなのです。

行政書士花村秋洋事務所では、障害者の相続手続きを専門的に行っています。知的障害者の相続手続きは専門家にたらい回しにあってしまうことも多いため、苦労しないよう知識のある専門家に依頼しましょう。

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