障害や認知症があっても法定相続登記ができる!
相続人に障害のある方や認知症の方がいる場合、通常の相続手続きが行えない場合があります。
その際、専門家が勧めてくる一つの方法として「法定相続による登記」があります。

不動産についてのみ言えることなのですが、法定相続分で相続登記をする場合は、相続人の一人が相続人全員分の登記申請を行えてしまいます。
これにより、障害のある方や認知症の方が相続人にいる場合でも相続登記が完了できてしまうのです。
言われるがままに法定相続登記をしてしまった…!
どうしても成年後見人をつけたくないがために、専門家の言われるがままに法定相続登記をしてしまった方も多くいらっしゃると思います。
銀行預金が少なければ、(銀行によって)相続人の一人から手続きを行えてしまう場合もありますし、キャッシュカードと暗証番号で引き落とせる場合もあります。

正式な手続きは不動産登記だけという場合は、残るは法定相続登記を行えば、全ての相続手続きが完了できてしまうでしょう。
しかし専門家からそのように教えられ、何も考えずに法定相続登記を行ってしまった結果、窮地に追い込まれてしまった方もいらっしゃるのです。
法定相続登記の弱点は?
法定相続登記は、一つの不動産を法定相続分で分割して移転するという手続きです。
これにより不動産は「共有」状態になります。
「不動産は共有するな」という典型的な教えもある通り、不動産を共有することでのデメリットというものが多く存在します。

うっかり法定相続登記を行ってしまったことで、取り返しのつかない状況に陥ってしまうというリスクがあるのです。
不動産が売れなくなる
シンプルな例として、障害のある長男と健常者の次男で一つの家を共有(持分二分の一ずつ)したとします。
すると、その不動産は売れなくなります。
買い手がいないという意味ではなく、手続き的に成年後見人をつけないと不可能になるということです。
共有不動産を売却するためには、共有者全員で売却手続きを行わなければなりません。

障害のある長男も売主として売却手続きや移転登記手続きを行う必要があるのです。
すると、今日では障害のある者の売却手続きを容易に認めてくれる不動産業者は多くありません。
意思能力に懐疑が持たれるからです。
不動産業者も安全な売却手続きを行うことが求められますし、万が一後で契約が無効となってしまっては買主側に顔が立ちません。
そのため、少しでも懐疑が持たれる場合であれば「成年後見人をつけて売却手続きをしてください」と言われてしまうのです。
不動産は永久的に売れない?
不動産が売れない状況が解消されるタイミングは以下の二つしかありません。
- 障害のある共有者(長男)が死亡し、相続人が引き継ぐ
- 障害のある共有者に成年後見人をつけ、家庭裁判所の許可を受ける
1では、障害のある共有者に相続人がいない場合、その権利は国に渡りますから、手続きは非常に困難になります。
2でも、成年後見人の重要財産を売却する許可を得るにはかなり大変な手続きを行わなくてはなりませんし、許可が得られなければ結局不動産は売却できないことになります。
まだ諦めない!不動産登記をやり直す方法とは!?
先のことは考えずに、とりあえず言う通りに法定相続登記をしてしまって後悔している方。
もう戻れないわけではありません。
一定のケースに限った話ではありますが、不動産登記をやり直せるケースもあります。
遺産分割協議による更生の登記が行える
先ほどのケースで、長男の障害の程度が比較的軽微であった場合、遺産分割協議による更生の登記が行える可能性があります。
長男には障害があるが、遺産分割協議ができないほどのものではないといった場面です。
この場合、長男と次男は遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。
そしてその遺産分割協議書を添付書類とし、不動産登記の所有者を変更できるのです。
この登記の有効な点は「更生は一人の申請でできる」というところです。
もしこの更生の登記が全ての共有者(この場合は長男および次男)によってしか行えなかったらどうなるでしょう?
おそらく長男の障害の程度が軽かったとしても、専門家や法務局が手続きを躊躇してしまうという可能性がでてきます。
そうなると登記手続き自体が行えないため、作成した遺産分割協議書は意味のないものになってしまうのです。
そのため、遺産分割協議書がなんとか作れるケースであれば、やり直せる可能性がまだあるというわけです。
すでに法定相続登記を行ってしまった方はご相談を!
すでに法定相続登記を行ってしまい、後悔しているという方はぜひ一度ご相談ください。
当事務所にて実施可能かの検討を行い、可能であれば連携している司法書士と更生登記の手続きを行います。
必ず行えるというわけではないですが、期限も特にありませんので、今一度ご検討していただければと思います。





