成年後見人をつけて不動産を法定相続分に分けて共有する場合の注意点

成年後見人をつけない財産管理

成年後見人をつけて相続を行った場合は「法定相続分」となる

障害者や認知症の方が相続人に含まれているために成年後見人をつけて相続手続きを行った場合、原則「法定相続分」で遺産を分けることとなります。

例えば、父・母・子一人の3人家族の場合、父が亡くなった際には母と子が遺産を半分ずつにします。

しかし相続財産には色々な種類のものがあります。銀行預金や株式、不動産や車などです。それらについて「法定相続分」で分けるにはどのような方法があるのでしょうか。

今回は特に注意点の多い「不動産」についてお話をしたいと思います

なぜ成年後見人をつけて相続すると法定相続分で分けることになってしまうのか

それではなぜ成年後見人をつけて相続をすると、法定相続分で分けることになってしまうのでしょうか。

それは、成年後見人の特性にあります。

成年後見人が本人に変わって遺産分割協議に参加する場合、ある決まりがあります。

それは本人の法定相続分を確保することです

成年後見人が勝手に「こちらの分は少なくていいですよ」なんて言ってしまったら本人の権利を害したことになります。そのため成年後見人は法定相続分を確保しなければならないというある意味義務的な使命が課されているのです。

成年後見人のデメリットをケースごとに解説【影響が大きいのは障害者>認知症】
成年後見人をつけることの主なデメリットは「費用」、「遺産分割の制約」、「財産の制約」です。さらに成年後見人をつけることで家族の心理的負担も増すことになるかもしれません。ここでは、成年後見人をつけることのデメリットについて例を挙げて解説していきます。

法定相続分で不動産を分けるにはどのような方法があるか

それでは成年後見人が遺産分割協議に参加した結果、法定相続分で遺産を分けることになった場合、不動産はどのようにして分割されるのでしょうか

不動産を取得した者がお金を払う

不動産を取得した人がもらえるお金を我慢するといった方法があります。

例えば相続財産が不動産2000万円、預貯金2000万円で相続人が二人だった場合、不動産を取得した者が預貯金を一切もらわなければ理屈の上では平等となります。

このような分け方であっても成年後見人としては容認する傾向があるようです(本人の生活に不動産が必ず必要である場合などは別)。

しかしもし上記のケースで相続財産の預貯金が1000万円しか無かった場合、不動産を取得した者は自腹で500万円を支払わなければなりません

それぞれの持分を取得し「共有」とする

それでは相続財産が不動産しか無かった場合や不動産取得の代償としてお金を支払うことができなかった場合、不動産を共有するしかありません。

法定相続人が子二人だった場合は1/2ずつ、子三人だった場合は1/3ずつというふうにです。

しかしよく「不動産の共有はするな」という言葉を聞くと思います。ここでは割愛しますが、不動産を共有すると勝手に売却できなかったり、使用に関してトラブルが生じたりといったデメリットが存在するのです。

不動産を共有したらどうすれば良いのか?

では実際に相続により不動産を共有した場合にはどのように取り扱えば良いでしょうか。もちろん居住用に使うことも可能なのですが、ここでは相続した不動産の使い道がなく、持て余している状況とします

ケース:健常の長男と重度の知的障害がある次男(成年後見人あり)の二人で不動産を共有したが、長男は自分の持ち家があり、次男は福祉施設に入所している。次男には成年後見人がついており、容易に不動産を売却する話には応じてくれない。

持分が一人になるまで待つ

この場合、長男は次男が亡くなるのを待たなければなりません。次男が配偶者や子が無く亡くなった場合、長男に相続の権利があるからです。

長男が次男の持分を相続した場合は全ての持分がありますので、その不動産を売却することも当然可能です

また長男が先に亡くなった場合、長男に子がいる場合はその子が不動産を相続することができますので、長男と次男の持分を全て得た子は同様にその不動産を自由に処分することができます。

自分の持分だけ売却する

しかし何らかの理由で次男が亡くなるのを待てないといった状況もあるはずです

例えば長男も未婚で子がいない場合。長男の後に次男が亡くなっても、相続人が不在となるため遺産は国に帰属します。

長男(結局は次男も)は不動産の持分を相続したものの、その不動産の固定資産税を払うだけ払った後、国に奪われるといった形になってしまうのです。

そのような状況はもったいないと考えるのであれば、自分の持分だけ売却してしまうというのも手です。

持分のみの売却は可能?

しかし自分の持分だけを売却するといった場合、買い手はなかなかつかないものです

なぜなら、その不動産には活用価値が全く無いからです。

持分を買った者もその持分を自由に処分することができず、さらに家庭裁判所が認めなければ次男の持分を売ってもらうこともできません

結果、次男が亡くなり次男の持分が国に帰属した後、国にその持分を売ってくれるよう交渉しなければなりません。

そのため、なかなか売却できないといった状況に陥ることもあるでしょう。

(持分を売却する先が無い場合、当事務所が連携している不動産業者へのご紹介が可能ですので、まずはご相談ください。)

成年後見人がいる場合の不動産の共有はできるだけ避けたほうが良い

ということで、成年後見人がいる場合の不動産の相続の方法とその問題点についてお伝えしましたが、成年後見人がついている状況での不動産の共有はできるだけ避けたほうが良いというほかないでしょう。

不動産の共有を防ぐには遺言を作成しておくことが非常に有効です。また有効な遺言があれば成年後見人をつけないように相続手続きを行うことも可能となります。

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不動産の共有を防げるような遺言を作りたい、処分できない持分を取得してしまったという方はぜひ一度当事務所にご相談ください。

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