成年後見人のデメリットをケースごとに解説【影響が大きいのは障害者>認知症】

成年後見人をつけない相続

成年後見人をつけるデメリットをケースごとに解説します

成年後見制度は、意思能力に支障がある者の契約能力等を補完する唯一無二の強力な制度です。成年後見制度を利用することで助けられている人も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、できる限り利用しないに越したことはないとも言われるこの制度。メリットも多い反面デメリットもたくさんあります

今回は、成年後見制度を利用することで生じるデメリットについて、個々のケースを例に挙げて解説してみたいと思います。

成年後見人のデメリット

成年後見人等にかかる報酬が負担になってしまうというデメリット

成年後見人がつくと、本人が成年後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。それは、人により大きなデメリットとして捉えられてしまうことでしょう。

成年後見報酬がデメリットとなってしまう例を挙げてみます。

知的障害者が成年後見人をつけるタイミングにより費用に大きく差が出る場合

モデル:父(80歳)、母(75歳)、兄(50歳)、弟(45歳)の4人家族で弟が重度の知的障害者

ケース①成年後見人を若くしてつけた場合の成年後見報酬

父が亡くなりました。弟に意思能力が無いと判断されたため、成年後見人をつけて遺産分割協議を行いました。

成年後見人に対する報酬は毎月3万円。これを弟が85歳で亡くなるまで支払い続けました

弟が生涯支払った成年後見報酬は計1,440万円になりました。

金銭面のデメリット

ケース②成年後見人を高齢になってからつけた場合の成年後見報酬

上記と同様のモデルで父が亡くなりました。しかし父は遺言を残していたため、弟に成年後見人をつけることなく相続手続きが行えました。

その後母も亡くなりましたが、母も遺言を残していたため、弟に成年後見人をつけることなく相続手続きを行いました。

そして長年弟の面倒をみていた兄が80歳で亡くなり、弟は70歳の時に成年後見人をつけることになりました。

弟は85歳で亡くなり、生涯に支払った成年後見報酬は540万円でした

成年後見人を若くしてつけると支出額に大きな差が出ることもある

以上、大変簡単な例でしたが、成年後見人を若くしてつけるか高齢になってからつけるかで支払う報酬に1000万円位の差が出てしまうこともあります。

これは成年後見制度を利用する際の大きなデメリットと言っても良いでしょう。

成年後見等の報酬を、唯一の収入源である障害年金から支払っているという方も多くいらっしゃいます。

障害年金が月当たり7万円程度だった場合、そこから成年後見報酬の3万円を支払うというのはかなり酷であると言えるでしょう。

相続財産を自由に分けることができないというデメリット

成年後見人がつくことの大きなデメリットとして挙げられるのは報酬の問題だけではありません。

相続財産を自由に分けることができないというデメリットもあります。先程の家族モデルを例に挙げて解説していきます。

先程の家族モデルと同様:父の所有財産は「自宅(土地及び建物)」「貯金4000万円」

成年後見人をつけて遺産分割協議を行った場合

父が亡くなり、弟の代わりに成年後見人が遺産分割協議に参加し、相続財産を分ける話し合いを行いました。

成年後見人は本人の法定相続分を確保しなければならないため、結果、以下の通りとなりました。

母:自宅の持分1/2

  現金2000万円

兄:自宅の持分1/4

  現金1000万円

弟:自宅の持分1/4

  現金1000万円

上記の割合は法定相続分通りです。しかしここで問題が生じます。

弟はグループホームに入所しているため、兄は母が亡くなった後、誰も住まなくなってしまう自宅を売却したいと考えました。

しかし、自宅は弟の持分があるため、成年後見人が売却に反対しました。

母が亡くなり、兄が亡くなり、そして弟が亡くなりました。自宅は誰にも使われることなく国庫に帰属しました。また弟の預貯金1000万円も成年後見人報酬に使われた残りが国庫に帰属することになりました。

自宅を売却できないデメリット

家族の将来設計に支障をきたすこともある

以上のように、成年後見人がついている者の財産がうまく活用できないといった問題も起こり得ます。

法律上は、財産は個人それぞれの物なので、他の家族が不便に思ったとしても、成年後見人は弟の財産は必ず確保しておかなければなりません

遺言があれば自分の財産をどのように分けるかは自由です。遺留分を侵害する遺言も有効です。事前に対策を取れば、財産が最終的に国の物になってしまうという不都合を回避することも可能となります。

家族の財産が他人に渡るというイメージを持たれてしまうことも

その他のデメリットとしては、「家族の財産が他人に渡る」というイメージを持たれてしまうことです。

もちろん成年後見人は本人のためにしか財産を使えません。

本人の口座から家族が出金する

しかし家族としては本人の通帳を奪われてしまう、家族の意向は関係無しに勝手にお金を使われてしまう(または使ってくれない)という印象を持ってしまう場合もあるでしょう。

結局は、家族が本人のために希望する支出が認められないために家族がその分を負担するが、最終的に本人の財産が余ってしまうという納得し難い結果となることもあります。

仮に遺言があった場合、その他の家族に財産を多与え、本人に財産を一切渡さないといったことも可能です。もちろんその分は家族が本人のために支出すれば良いことです。事前の対策があれば、このような家族単位の財産の活用方法も計画することができます。

成年後見人のデメリットは【認知症<障害者】で大きくなる?

以上のようなデメリットをご説明しましたが、成年後見人についてのデメリットは、一般的に認知症患者につけるよりも知的障害者や精神障害者につけたときの方が大きいと考えられます。

それは「成年後見人をつける期間が比較的長いから」です。

費用に関しても財産活用の不十分さにしても期間が長ければ長いほど負担になります。そして財産が国庫に帰属するという問題は、認知症高齢者の場合はほとんど起こり得ません。

そのため、認知症高齢者に対して成年後見制度の利用を考えるより、知的障害者や精神障害者の方に対して成年後見制度の利用を考えること、事前対策を取ることのほうがより慎重にならなければならないと考えます。

成年後見人等はできる限り利用しない!本当に活躍してくれる時には積極的に活用する!

成年後見人のデメリットだけをまとめてしまうと、「費用がかかり、財産が活用できず、余ったら国に取られてしまう」ということになってしまいます。

しかし、成年後見制度は本人を保護する最後のセーフティネットと言える優秀な制度です。

成年後見人はデメリットだけでなくメリットもある

必要としない時期には成年後見制度を利用しないための対策をしっかり取り、本当に必要なタイミングになったら積極的に活用するというのが理想と言えるでしょう。

本人とその家族が成年後見制度とうまく付き合っていくためのプランを立てるには知識が必要です。

当事務所では、成年後見人をつけたくないというご本人やご家族からの相談をお受けしておりますので、お困りの際はぜひご利用ください。

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