成年後見人をつけないための遺言内容3つのポイント!【障害者控除・遺言執行者・分配方法】

成年後見人をつけない相続

成年後見人をつけないようにするために遺言を作る場合は特に注意!

重度の知的障害者の方など、意思能力の無い者が相続人にいる場合、何も準備しておかなければ、相続時に成年後見人をつけることになります

知的障害者には成年後見人をつけるのが一般的

相続時に成年後見人をつけずになんとか手続きを進めようとしても、銀行やその他の機関から拒まれてしまいます。

そんな「手遅れ相続」にならないためには、自分自身で遺言を残しておくなどの準備をしておかなければなりません。自分が亡くなったら後はどうでも良いと思っていると、残された家族は大変な目に合ってしまうのです。

成年後見人をつけずに相続手続きを進めるためには遺言を残しておくことが重要ですが、しかし遺言の内容が不十分だと、結局は成年後見人をつけることが必要となってしまい、せっかく遺言を作成した意味が無くなってしまいます

今回は、成年後見人をつけないようにするために遺言を作成する場合の、その遺言内容について3つのポイントを解説します。

障害のある者に遺産をどれだけ渡すのか

重度知的障害者の方などで意思能力の無い場合、遺産を渡してもうまく活用することができません

例えば預金を渡した場合、自分で下ろして使うことができませんし、不動産を渡した場合も運用や売却をすることができません。

それでも遺産を渡すとなると、その財産は渡した時点で事実上凍結されたことになります

一方、本人に渡したい分を他の家族に渡しておけば、本人の代わりに活用することができます

預金を下ろして本人に手渡したり何かを購入したりすることもできますし、不動産が不要になれば売却し、本人の生活のための資金としてプールしておくこともできます。

そのため「障害があるため意思能力の無い者に遺産を残すのか」という点をよく考えなければなりません。

もちろん本人には一切遺産を渡さないことも可能です。その分を他の家族に託しておけば良いのです。しかし家族が本人に渡さず使ってしまうということも考えられますので、しっかりと財産の使途については説明しておく必要があります。

遺留分を害した遺言は無効じゃないの?

これはよく誤解されている方が多いのですが、本人の最低限の遺産を保証する「遺留分」に満たない遺言の内容も有効です

遺留分は「請求して初めて権利が認められるから」です。

遺留分を請求しなければ遺留分はもらえません。そのため、意思能力の無い者は遺留分を請求すること自体できないのです。

もちろん、後に本人に成年後見人がついた場合、遺留分を請求される可能性は高くなります。そのため、本人の遺留分に相当する額は他の相続人がプールしておくと良いでしょう。

障害者控除を使う場合は本人の相続分を0には出来ない

相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告及び支払いの義務が発生します。

その場合、相続税の障害者控除制度を利用すれば相続税を0にすることまたは相続税の額を少なくすることができます。

障害者控除を受けられる相続とは

しかし、障害者控除は障害者本人の相続分が0円相当である場合には利用できません。そのため、障害者控除を必要とする場合には遺言で少額の財産を本人に渡すような内容にしておくと良いでしょう。

知的障害者等の相続分を0にする方法【障害者控除を使わない場合に取れる手段】
知的障害者の相続分を0にすることは可能です。しかし、相続税の障害者控除という制度を利用する場合には大きな損失となる可能性があります。ここでは、障害者控除をつかわない場合にとれる手段として、本人を保護するために相続分を0にする方法を解説します。

本人に渡すものは不動産でも良いのですが、後にトラブルとなったり、使い勝手が悪かったりしますので、できれば「お金」が良いでしょう。相続税の申告が必要な場合でも相続税の申告が不要な場合でも、証拠が残るように預金口座への入金をおすすめします。

相続税の障害者控除を受けるために財産を分ける場合は現金が良い?
相続税の障害者控除は非常に強力な制度であり、その活用は必須と言えるでしょう。しかし、障害者控除を受けるためには対象となる障害者への相続分を0にしてはなりません。ここでは、障害者控除を受けるためには現金が良いという理由について解説しています。

遺言執行者に関する事項は必ず記載すること!

成年後見人をつけないようにするために遺言を作成する場合、「遺言執行者」に関する記載は必ず行ってください。

遺言執行者に関する記載が無いと、せっかく遺言を作ったのに成年後見人が必要となってしまうことになります。

遺言執行者を誰にするか、遺言執行者は何ができるかなどの事項は欠かさないようにしましょう。

遺言執行者に「配偶者」は避ける

通常ですと、遺言執行者はその他の法定相続人のうちの一人で構いません。自分に一番近い人を指定しておくことをおすすめしますが「配偶者」を指定することはあまりおすすめできません

なぜなら多くの場合、配偶者と自分は年齢が近いからです。もし自分が高齢になった場合、配偶者も同じく高齢になっていることが多いでしょう。

そうすると、配偶者にもリスクが発生してきます。配偶者が認知症になっていたり、体が不自由になっていたりすると遺言執行者の職務を行うことが困難になってしまうこともあるのです。

できれば遺言執行者は信頼できる「子」が良いでしょう。また、自分が指定した遺言執行者に何かあった時のために予備的な遺言執行者を併せて指定しておけばあらためて遺言を書き直す必要がなくなることもあります。

自筆証書遺言と公正証書遺言

では、どの形式の遺言を選択するかについてですが、公正証書遺言の方が確実性は増すでしょう。

公証人手数料が必要なため、自筆証書遺言よりかはお金がかかりますが、公正証書となるため証拠力は強くなります。

自筆証書遺言を選択する場合は「遺言の内容が簡素である」といった場合に限定すると良いと思います。その場合でも法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用して遺言の様式についてチェックしてもらいましょう。

遺言は必ず!3つのポイントも必ず!

家庭での相続発生時に成年後見人をつけないようにするためには、まずは遺言が必須です。

さらに遺言の内容についても今回解説した3つのポイントを全て抑えておかなければなりません。

成年後見人をつけないための遺言内容については、一般的な専門家では対応できないこともありますので、不安な方はぜひ当事務所へご依頼ください。

成年後見制度を利用する前にぜひ一度ご相談を!新たな方法をご提案できるかもしれません!
お手続きの流れはこちらから
成年後見制度を利用する前にぜひ一度ご相談を!
お手続きの流れはこちらから
タイトルとURLをコピーしました