キャッシュカードの磁気不良でお金を下ろすことができなくなる!
現在、障害のある方や認知症のある方の生活費を本人の口座からキャッシュカードを使って下ろしているご家族は多いと思います。
もちろんそれ自体は必ずしも違法とは言えません。本人の希望や意向に沿った払い戻しの場合がほとんどだからです。
しかしそれを知った銀行は禁止せざるを得なくなります。
そのため、キャッシュカードが磁気不良などの理由で使えなくなった場合、家族が再発行を求めることが難しいのです。
今回はキャッシュカードの磁気不良によるトラブルとその対策について説明します。
キャッシュカードの耐用年数は?
キャッシュカードの磁気機能の耐用年数は定かではありませんが、一生使い続けられることが補償されているわけではありません。
また使用頻度などにも大きく影響されるでしょう。
一度磁気不良を起こしてしまうと自然に直るということは考えづらいため、銀行に再発行の依頼をする必要があります。
しかし銀行では、原則本人からの申請でなければ受け付けてくれません。
キャッシュカードが使えなくなるだけで成年後見人が必要になる!?
銀行で代理人によるキャッシュカードの再発行が認められなければキャッシュカードを使用してお金を下ろすことは難しくなります。
銀行の窓口で下ろせれば良いのですが、代理人カードを発行されている場合でなければ、家族であってもお金を下ろすことは認めてもらえません。
本人の口座には老齢年金や障害年金が振り込まれていることが多いため、毎月の本人の生活費を捻出することが難しくなってしまいます。
結局はキャッシュカードの磁気不良をきっかけに成年後見の申し立てをする必要が出てきてしまうのです。
磁気不良に対する対策は?
それでは、キャッシュカードが磁気不良になった時の対策はあるのでしょうか。以下に挙げていきたいと思います。
本人が再発行を申請する
本人に意思能力がある場合は、当然に本人からの再発行の申請が可能です。
しかしそれを認めるのはあくまでも銀行側になります。
銀行員は福祉の知識や経験があるわけでは無いので、その判断は非常に曖昧なものになります。
銀行から医師の診断書の提出を求められた場合は、本人を理解してくれているかかりつけ医などに相談しましょう。
家族が再発行を申請する
家族がキャッシュカードの再発行を申請することは原則認められていませんが、代理人カードを発行してもらえる理由があれば可能になります。
本人に意思能力はあるが、足が悪い、体調が悪いなどの理由で銀行に足を運ぶことができない場合などです。
また郵送での申請を受け付けてくれる銀行は多くあります。
その場合に家族が本人の同意を得て申請書などを代筆することは、必ずしも違法とは言えないでしょう。
ATMの磁気復旧機能を利用する
一部の銀行のATMでは、ICカードの磁気不良の自動修復を行ってくれるところもあります。
「引き出し」や「残高照会」などを選択することで、そのキャッシュカードに磁気不良が発生していた場合に修復してくれるというものです。
この場合でも、ICチップが搭載されているカードのみが対象となるところがほとんどのようです。
磁気不良に備えた対策は?
上記の対応が取れなければいよいよ成年後見人の申し立て手続きを行わなければならなくなってしまいます。
しかしそうならないよう事前に対策しておくことはできないのでしょうか。
キャッシュカードの扱いを丁寧にする
キャッシュカードを直接財布に入れておくと損傷の進みは早くなると思います。
また他のカードと重ねて置いたりすることで磁気の損傷に繋がることもあるとのことです。
キャッシュカード作成時にはカードカバーがもらえることもありますし、購入することもできます。
常にカードカバーに入れておくようにすれば、比較的長く使い続けることができるでしょう。
ネットバンキングを利用する
今では通帳やカードを要せずとも振込やカードの再発行手続きが行える「ネットバンキングサービス」を利用できる銀行がほとんどです。
現在紙の通帳を利用していても、後から通帳レスサービスに切り替えられるところも多くあります。
インターネットから直接現金を受け取ることはできませんが、家族の口座に一旦振り込み、そこから生活費を下ろすこともできます。
本人が意思能力に疑いがある状態になってからサービスを開始することは難しいため、事前にネットバンキングサービスを利用できるようにしておくほうが安心です。
家族が操作する場合には、極力本人と共に、または本人の同意を得て行うようにしましょう。
依然認知症や障害者を悩ませる社会は変わらない
単なるキャッシュカードの磁気不良から、成年後見人をつける必要が出てきてしまうというのが今の世の中です。
今後は銀行などの対応も、より厳しくなっていくことが予想されます。
遺言や相続財産の分配方法など、最悪の状況になる前に事前に対策できることも多々ありますので、認知症や障害者の方の財産管理はぜひ当事務所にご相談ください。