成年後見人がいらない環境やタイミングを考える
成年後見人は大変強力かつ優れた制度だと思います。そして本当に必要としている人も大変多い制度であることは確かです。
しかし、自分自身及び家族が成年後見人を本当に必要とするか否かはもう一度考えてみる必要があります。
「将来的に」必ず成年後見人が必要だと思っていても、それが今では無いというケースも多々あります。
今回は成年後見人がいらない環境とタイミングについて解説したいと思います。
成年後見人がいらない環境とタイミングとは
成年後見人がいらない環境とタイミングとはいったいどのようなことなのでしょうか。
具体例を挙げて説明します。
家族や親族が本人の世話をできる場合
家族や親族が本人の世話を十分にすることができる環境にある場合、成年後見人がいらないケースに該当するかもしれません。
例を挙げてみます。
片方の親が健在、兄弟も近くに住んでいる場合の知的障害者のケース
本人に知的障害があり、一人で自分のことを満足に出来ない者であっても家族と同居していれば他者の手を借りる必要はないかもしれません。
ここでの「他者」とは、福祉サービスの機関ではなく、それ以外の「生活上の世話をする者」ということ、すなわち成年後見人等の存在です。
両親のどちらかが亡くなっても、もう片方の親や兄弟がいます。それらの者が本人をみることができれば成年後見人がいらない環境と言うことができるでしょう。
現金以外の本人名義の財産が無いケース
現在の時点で「本人名義」の不動産や有価証券が無く、それらの財産の管理や運用が必要ない場合は成年後見人がいらないケースかもしれません。
そういった場合、本人が行わなければならない「契約行為」は限られてきます。
おそらく「福祉サービスに関する契約」を除けば日常生活上の買い物程度になるのではないでしょうか。
「福祉サービスの契約」については厳密に言うと家族であっても他人が行ってはなりません。法律上は本人または法定代理人(成年後見人等)しか行えないからです。
しかし、現状の福祉サービス契約は、運用上、「親またはその他の家族」が行えることが通例となっています。本人名で家族が契約書や重要事項説明書に署名及び押印を行うのです。
そうなってくると、成年後見人の出番は特にはありません。特別な契約行為(不動産の処分や有価証券等の管理)が無い限りは家族が対応できる状況となります。
成年後見人が実際に行うことは?
成年後見人は本人の「身上監護」を行います。本人が生活を送る上で支障があればそれをサポートする必要があるのです。
しかし、家族が本人と同居し本人をみるとができる場合、実際行うことのメインは「財産管理」と「福祉サービスの契約」になります。
そのため、家族が本人の財産管理及び福祉サービスの契約ができている状況であれば、成年後見人がいらない環境にあると言えるでしょう。
ではなぜ成年後見人を勧められる?
それではなぜそのような環境にある家庭が成年後見制度の利用に迫られるのでしょうか?
主な原因は「外部からの指示」です。
成年後見の利用を迫る「外部」とは?
ここでいう外部として考えられるのは、銀行、証券会社、不動産会社、法務局等が考えられます。
本人に本当に成年後見人が必要か否かを全く考えることなく「手続き上必要だから」と成年後見制度の利用を迫ってきます。
もちろん成年後見制度を利用することは悪いことではありません。
しかし、成年後見人をつけることにより生じる弊害については説明などをしてくれるわけではありません。
家族な環境を考えて本当に成年後見人が必要なタイミングを考える
以上、成年後見人がいらない環境やタイミングについてご説明しましたが、多くの方はこのタイミングで失敗しています。
外部から言われたからと軽い気持ちで成年後見制度を利用したため、多額の費用がかかってしまったケースもあります。
当事務所では、「成年後見人をつけるべき本当のタイミング」についてご家族やご本人からの相談を受け付けております。
相続の発生時などに「成年後見人が必要だからつけてください」と言われてしまった場合などにはまず一度ご相談ください。考えられる別の手段を検討させていただきます。