行政書士花村秋洋事務所には多くのご相談が寄せられます。
相続や遺言に関しての相談では、ほとんどが障害者、認知症の方が相続人に当てはまるケースとなります。
遺言や相続の業務を取り扱っている専門家はたくさんいます。
行政書士だけでなく、弁護士、司法書士、税理士などが相続業務を行うことができますが、家の近くの専門家ではなく、わざわざ当事務所にご相談いただく方が多いのはなぜでしょう。
今回は、行政書士花村秋洋事務所に遠方からご相談いただく方が多い理由を考えてみました。
わざわざ遠方の専門家に相談しなければならない背景には社会的な問題が潜んでいる
では、なぜ近くの専門家ではなく、わざわざ当事務所にご相談される方が多い理由として考えられるものを挙げていきます。
当事務所では全国対応で遺言、相続業務を行っております。当事務所は埼玉県にありますが、北海道から沖縄県まであらゆる都道府県の方からご相談が来ます。
実際に遠方まで出張することも多いのですが、出張するに当たっては出張費をいただくこととなり、それは決して安い額とは言えません。
それでもご相談、ご依頼される方が後を絶たないのには、陰で社会的な問題が潜んでいるのではないかと考えています。
①障害者・認知症の相続を専門としている専門家が少ない
まずひとつ目には、そもそも障害者や認知症の相続を専門としている者がほとんどいないということが考えられます。
市民全体で考えてしまえば、認知症、知的障害、精神障害を持っている者の割合は非常に少ないと言えます。
そのため、それらの者を対象とした相続を専門的に取り扱うということは、事務所運営を考えると全くメリットが無いのです。
このような理由で、認知症や相続に詳しい専門家は全国的にほとんどいないこととなっています。
②障害者・認知症に詳しい専門家がいない
私は行政書士となるまでは、全国的に見ても大規模な社会福祉法人で務めていました。
大規模な社会福祉法人ですので、児童、障害、高齢とあらゆる部門の福祉施設を数多く運営していました。
そのため、各分野の福祉施設を見てきましたし、特に高齢・障害では計20年間も現場で支援業務を行ってきました。
しかし、全国的に見ると、ここまで現場経験が多い行政書士は皆無だと思います。行政書士だけでなく、弁護士、司法書士、税理士で考えてみてもまず存在はしていないでしょう。
万が一存在しているとしても、インターネットで検索しても出てくることはありませんから、どこかの地方規模で業務を行っている専門家であることは間違いありません。
ということは、実際に認知症や障害者の方を現場で見てきた経験のある専門家はほぼ存在していないということになります。
私が実際に見てきた福祉施設の利用者様の総数は数百名に及びます。そのため、お話を聞くだけである程度の御本人像を即座にイメージすることができます。
しかしほとんどの専門家は、話を聞いても実際に御本人を目の前にしても、どのような問題があり、どのようなことで家族が困っているのかをイメージすることは不可能と言えるでしょう。
そうなると多くの専門家は、認知症や障害のある方の相続業務を取扱うことを敬遠しがちになるのです。
もちろん実際に相談や依頼を受けてくれる専門家は多くいます。
しかしご家族のご相談の趣旨がすぐには掴めず、互いの認識がズレたまま手続きに進んでいく危険性をはらんでおり、こちらにご相談に来られた方からもそのような経験をされて困ったという話をいただくことがよくあります。
逆に専門家側からも、認知症や障害者の相続案件が入ってきて対応に困っているという相談もありますし、依頼する側もされる側も安心して関係を築いていくことはなかなか難しいというのが現状でしょう。
③まとめて専門家を依頼できる
当事務所は連携している他の専門家(司法書士・税理士・社会保険労務士等)と分担して一つの案件に取り組んでいます。
実際に自分の近所で良い専門家を見つけたとしても、その専門家が取り扱えない業務が含まれている場合はまた一からやり直しです。
認知症、障害者の相続を取り扱ったことのある専門家で相続関係の手続き(遺産分割協議書や遺言・不動産登記・相続税申告)を全て行うことはほぼ不可能と言えるでしょう。
当事務所では全国対応の各専門家で対応することで、市民の方が路頭に迷わないよう手続きを進めていきます。
国が見えていない狭間の問題
これは私が以前から述べている「狭間の問題」も一つの要因になっていると言えます。
弁護士、司法書士、行政書士などのいわゆる相続の専門家と、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの福祉現場の専門家のどちらも対応できないのが「認知症・障害者の相続」なのです。
現状では、相続の専門家は「成年後見人をつけて相続すれば問題ない」と考えており、福祉現場の専門家は「違和感はあるけれども、成年後見人をつけないで相続は行えない」という認識があります。
それぞれに大きな認識の違いはありますが、結論はどちらも「成年後見人をつける」ということになります。
すると相談者側(多くはご家族)には「本当に成年後見人をつけなければいけないの?」という大きな疑問が残ります。
理屈を考えればご家族側が正しいのですから当然です。今まで自分がみていた家族がいきなり他人の管理下に置かれてしまうのですから。
しかし相続の専門家も福祉現場の専門家もこの点に関しての知識が無い(得る必要がない)ため「仕方が無い」で片付けざるを得ないのです。
これは成年後見制度をスタートする際に国が見えていなかった「狭間の問題」と言えるでしょう。
メールや電話での相談は原則無料
当事務所にご相談が多いその他の理由としては、当事務所がメールや電話での相談を原則無料としていることもあるでしょう。
「相談はしたいが、いきなり高い出張費と相談料を払うことには躊躇してしまう」という方も多いと思います。
そんな時に気軽に相談できる場所として当事務所が活用されているという現状があります。
※当事務所は個人事務所ですので、突然のお電話に出られないことがしょっちゅうです。その際には留守番電話にメッセージを残していただければ後ほどおかけ直しいたします。メールであれば24H送信可能ですので、できるだけメールでのご相談にご協力ください。
認知症や障害のある方のご家族が被害者となることを回避
先述した「狭間の問題」も相まって、最終的に被害者となるのはご本人様とそのご家族です。
このような一種の社会問題と言える現状を打破するため、できるだけ多くのご相談に応じて行きたいと考えています。
どこにも相談できず困っている、とりあえず今後の方針を考えたいという方などはお気軽にご相談ください。