親亡き後に成年後見人をつけずに福祉サービスの利用を続ける方法

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親が亡くなった後に成年後見人をつけずに福祉サービスの契約を続ける方法

福祉サービスを利用している成人の知的障害者や精神障害者の両親が亡くなった場合、福祉サービス機関から成年後見人の選任を求められることがあります。

そもそも厳密に言えば、今まで利用していた福祉サービスの契約は本人に意思能力や判断能力があった場合は有効、無かった場合は無効となります。しかし、本人に意思能力や判断能力が無かった場合でも施設の運用上、親が本人名で契約することを容認している施設がほとんどです。

しかし、本人の両親が亡くなった場合、福祉施設の対応としては様々であり、施設によっては成年後見人を求めてくる可能性もあります。

今回は、親亡き後でも本人が成年後見人をつけずに福祉サービスの利用を継続していける方法について解説したいと思います。

福祉施設が親以外の者の代理契約を認めることがあるのか

まず前提として、成年後見人をつけずに福祉サービスの利用を継続できるか否かは福祉施設が代理で契約をすることを認めるか否かにかかっています。

いくら両親であろうと成年後見人が必要だと判断されればそれまでです。

しかし一律に成年後見人を求める施設などありえません。そんなことをしたら福祉サービスを利用できる者などほとんどいなくなってしまいます。そのため、福祉施設の裁量によって成年後見人の要否を決めているといった現状があります。

本人の兄弟による代理契約は認められるか

両親が本人の代理で福祉サービスの契約を行うことはほとんどの施設で認められているとお話しましたが、その他の家族ではどうでしょうか。

まず本人の「兄弟」が認められる可能性はあります。

一親等の親に対し、次に近しい親族というのは二親等の兄弟や祖父母となります(配偶者や子を除く)。

親の次に近しい人物ですから、施設としては比較的安心して契約を行えるでしょう。

叔父叔母、甥姪の代理契約は認められるのか

それでは本人の「叔父叔母」や「甥姪」はどうでしょう。本人との関係は「三親等」になりますので施設としては慎重になるでしょう。

特に甥姪の場合ですと、成人していなければそもそも代理契約が不可能ですし、成人していても若すぎる者だと不安材料となります。

親が亡くなった後

それでも施設によっては代理契約を認めてもらえる可能性は十分にあります。ケースバイケースとなるでしょう。

家族や親族の代理契約を認める施設の判断基準は?

では、福祉施設としては、どんな判断基準で代理契約を認めるのでしょうか。考えられる判断基準を挙げていきます。

本人と同居しているか

本人と同居している場合であれば代理契約が認められる可能性が高いと言って良いでしょう。

家族と同居している

そもそも法律的に必要な成年後見人をつけずに親の代理契約を認めていたわけですから、福祉施設の考えとしては法律的なことよりも、「本人に近く、本人をよく理解している人物であるかどうか」という観点で判断する場合が多いと思います。だとすれば本人と同居しているか否かは重要な判断基準と言えるでしょう。

本人の近所に住んでいるか

これは前述した「本人との関係」にもつながることですが、どちらかというと実務上求められる条件ではないかと考えられます。

福祉施設として一番重要視するのが、本人の生命に関わることなどが発生した場合の緊急連絡先です。

もし本人に何かあった場合、すぐに駆けつけてくれる家族が求められます。そのため、遠方にいる親族などの場合は施設としては懸念材料となるでしょう。

連絡

どうしても成年後見人をつけたくない場合はどうすれば良いか

成年後見人をつけない相続を行ったとしても、福祉サービスの利用継続のために成年後見人をつけるようになってしまうとせっかくの努力が水の泡となってしまいます。

どうしても成年後見人をつけたくない。しかし近くに親族がいないなどの場合に考えられる対策としては2点考えられます。

福祉施設に可能な条件を尋ねる

思い切って福祉施設に代理契約ができる条件を聞いてしまうのも手だと思います。そして福祉施設が提示してきた条件に沿うよう努めます。

もし条件そのままの対応を取ることが不可能だったとしても、互いに条件をすり合わせることによって互譲という形で条件が緩和される可能性もあります。とにかく、福祉施設を信頼しているので継続利用したいという想いを伝えましょう。

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復代理の仕組みを作ってしまう

実例は聞いたことがありませんが、復代理人のような者を選任してしまうというのも手段としてはあり得ると思います。

例えば、本人と兄との二人兄弟の場合で兄が遠方に住んでいる場合、兄が本人の近くにいる復代理人(のような者)を選任して、本人の福祉サービスの代理契約を行わせるという形です。

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兄の本人に対する代理契約権が認められているのならば、兄の代理人がその事務を代理することは理屈的には無理とは言えません(法的にはそもそも兄が本人の名で代理契約をすること自体が無効です)。

この方法も、とにかく福祉施設と事前に話し合って妥協してもらうことが必要です。福祉施設に迷惑をかけないといった条件で、復代理人についても社会福祉士や行政書士、司法書士などの専門家を専任すると良いでしょう。

成年後見人をつけないで生活できるか否かは福祉施設次第

成年後見人なしで相続ができるか否かは銀行や証券会社次第と言えますが、成年後見人なしで福祉サービスの利用継続ができるか否かは福祉施設次第と言うことができると思います。

もしご自身が本人に対して、兄弟や叔父叔母、甥姪であった場合は、本人の両親が健在の時から施設の行事などに顔を出したり、施設職員に顔を覚えてもらったりして、福祉施設と信頼関係を築いておくことはとても重要だと思います。

行政書士花村秋洋事務所では、社会福祉の現場経験豊富な社会福祉士や介護福祉士でもある花村秋洋が、福祉施設の利用継続をさせたいとお考えのご家族を支援いたします。

本人の両親が亡くなったが、成年後見人なしで福祉施設の利用を継続させたいとお考えの方はぜひ一度当事務所にご相談ください。

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