認知症でも遺産分割協議はできる!【まずは長谷川式検査をやってみよう!】

成年後見人をつけない相続

認知症であっても遺産分割協議はできます!

「認知症でも遺産分割協議はできる」

これをYESかNOで答える場合、多くの相続の専門家は「NO」と答えしてしまうと思います。ましてや福祉や医療の専門家であっても「NO」と答えてしまう方もいるでしょう。

しかし答えは「YES」です。認知症であっても遺産分割協議を行うことができると答えるのが正解です。

もちろんその遺産分割協議が有効か無効かが一番重要となるのですが、それも「有効」な遺産分割協議という意味です。

遺産分割協議書が無効になる

なぜだか、今の世の中では「認知症があると総じて遺産分割協議ができない」という誤った情報が出回ってしまっているため、認知症のご家族がいる場合、必ず成年後見人が必要だと思ってしまうのです。

「軽度〜中程度」の認知症は有効な遺産分割協議をできる可能性が十分にある

なぜ認知症でも遺産分割協議ができるのかと言うと、認知症の方の中にはほとんど法律行為に問題のない程度の症状である場合も多いからです。

そのため、認知症の人でも遺産分割協議が有効に行える場合が多々ありますし、実際に行われています。「認知症=遺産分割協議ができない」のではなく、「認知症により判断能力がない(または著しく低い)=遺産分割協議ができない」と考えるべきなのです。

例えば、認知症の診断を受けているが一人で身の回りのことを行っており、自分の財産は自分で管理している高齢者もたくさんいます。そういった方が総じて遺産分割協議が行えないとは到底思えません

認知症の程度が問題なのであり、認知症だから何も分からないだろうという考え方は間違っているのです。

認知症の程度を測るには「長谷川式スケール」を用いることが一般的

現在、認知症の診断するためには「長谷川式スケール」という検査を行うことが一般的です。

長谷川式スケールは、いくつかの質問に答えてもらい、それを点数化して評価します。

そしてその点数により「非認知症」、「軽度認知症」、「中度認知症」、「高度認知症」の判断をします。

とはいってもあまりにシンプルなテストであるため、長谷川式の点数だけで正確な症状を判断することはできません。あくまでも目安ということになります。

それでもこの長谷川式スケールは現在の医療機関や福祉機関で重要視されている検査方法となります。

満点のほうが少ない長谷川式スケール

ではこの長谷川式検査の問題を見てみましょう。

引用:メディカサイト様

例えばこの問題を認知症でない高齢者にやってもらった場合、満点を取れない人もたくさんいます。(私もちょっと自身が無いです…)

もしくは、外から見たら決して認知症には見えないしっかりした人でも案外点数が低かったりもします

医師としてはこの検査の点数を重要視することが多いですので、しっかりしているように見える人でも点数が低ければ(その他の症状なども考慮して)「認知症」と診断することもあるのです。

長谷川式の検査を家でやってみよう

長谷川式検査を用いて認知症の診断を行うことは当然医師にしかできません。

しかし、認知症の目安を調べることは誰にだって行うことができます

この長谷川式スケールは「簡易式」で行うことができるため、誰でも簡単に質問者の立場になることができます。

また、採点方法もかなり容易になっており、検査表にチェックを入れていくだけで総合点数を算出することができます。

もしご自分のご家族の中に認知症の方がおり、遺産分割協議が有効にできるか否かが分からないという場合は、まず簡易式の長谷川式検査を行ってみるというのも良いと思います。

正確な診断とはなりませんがおおよその目安が分かるため、今後の方針を考えるのには大変役立つと思います。

検査の結果についての判断はどのようにすれば良いか

長谷川式検査をご家族に行った場合、その結果についてどう判断すれば良いでしょう。

それは私が名言できることではありませんし、長谷川式検査の結果だけで遺産分割協議が行える程度の判断能力があるか否かがはっきりするわけではありません。

しかし経験則でお話できるとしたら、「軽度」に該当する点数だった場合、遺産分割協議が十分に行える可能性は高いと思います。

長谷川式スケールの中には「短期記憶」を問う問題も多くあります。短期記憶とは、今もしくは近い時間に脳に入ってきた記憶を認識できているかどうかです。

反対に「長期記憶」というものもあります。長年生きてきた中で繰り返し脳に入ってきた情報がしっかり確保されているかどうかということです。

短期記憶で点数を落としてしまう方でも、長期記憶がしっかりしているという方もいます。例えば「法学部を出ている」、「銀行員として働いていた」、「相続や遺産が関係する部署にいた」という方などであれば、遺産分割協議の内容を理解するには十分な長期記憶が確立していたりもするでしょう。

家族や親族などの相続を手伝ったりした経験があることでそれらの分野に詳しいという方もいると思います。

また相続については全く知識が無い方でも話を理解する能力がまだ十分に残っているという場合であれば遺産分割協議を行うことは十分可能だと思います。

「軽度〜中程度」の認知症であれば、個々のケースにより成年後見人をつけなくても遺産分割協議ができることだってあるのです。

ほとんどの家庭が「はっきりしないまま」の判断を強いられている

ただし、「遺産分割協議ができるか否かを審査する機関」というものはありません。医師の診断は最重要視されますが、それでも最終的に判断されるには「裁判」を通すしかありません。

そのため、多くの家庭が「遺産分割協議ができる程度の判断能力があるのかないのかはっきりしないまま遺産分割協議を行ったり、成年後見人の申立を行っている」というのが現状です。

当事務所では、認知症や障害のある方が相続人に含まれる場合の相続を専門的に取り扱っております。

「遺産分割協議ができるできない」の判断を直接行うことはできませんが、前例を挙げることによって、ご依頼者様の選択肢を広げられる可能性はあると思います。

認知症患者の相続問題についてお悩みの方はぜひ一度お電話、メール等でご相談ください。

【認知症の遺産分割協議や長谷川式検査についての動画解説】

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