成年後見人をつけない対策は自分の家庭に合ったものを!【親なき後対策は家族信託or遺言?】

成年後見人をつけない相続

成年後見人をつけなくて済むような親なき後対策を取るには自分の家庭にあったものを

将来(親が亡くなった時)、成年後見人をつけなくて済むような対策としては「遺言」「家族信託」が考えられます。

例えば両親と長男次男の四人家族で、長男が意思能力が無いとみなされる知的障害者だった場合、片方の親が亡くなった時点で子に成年後見人をつけることとなる可能性が極めて高くなります

そのような状況を避けるために、「遺言」や「家族信託」の仕組みが考えられているのですが、両者の違いについては簡単に説明することは難しいため、しっかりと理解することはなかなか難しいと思います。

一般的には「家族信託」>「遺言」というようなイメージを持たれている方も多いと思います。しかし、状況によっては必ずしも正しいとは言えないこともあります

今回は上記で説明した「意思能力が無いとみなされる子」がいた場合の家族信託と遺言の違いについて考えていきたいと思います。

遺言を用いる場合

遺言を用いる場合の主なポイントは下記の通りです。

①遺言の内容

②遺言執行者

③遺留分

親なき後にも子に成年後見人をつけずに(他の家族。ここでは次男。)過ごしてもらうためには、親が亡くなった時に備えて上記を加味した遺言を残しておくことが必要となります。

上記をしっかりと考えた遺言を作っておけば、親が亡くなった際に次男が一人で相続手続きを行い、使用不能の財産を作らないことができます

そのような遺言が無い場合だと、相続の際に長男に成年後見人をつけ、その成年後見人と遺産分割協議を行い、長男には法定相続分に準じた相続割合で財産が相続されることになります。

「今後一生成年後見人がつく」ということに加えて「お金や不動産を活用できない長男にも法定相続分で財産を分けることになる」という点が大変不便であると考える方は、しっかりとした遺言を作成する必要があります。

家族信託を用いる場合

家族信託の仕組みを用いる場合はどうでしょう。

家族信託の一番のメリットは「自由度が高い」ということです。

しかし、自由度が高いというのは設計につい面でということであり、残された財産の活用については自由度が低くなる可能性もあります

例えば、親の財産を信託財産とし、信託財産の受託者を次男とし、「信託財産から毎月10万円を長男に渡す」という内容で設定したとしましょう。

しかし、「10万円を渡す」といっても意思能力が無いとみなされている長男は渡された10万円を自分で使うことはできません。

また、施設などに入所することになった場合、不動産を活用することもできません。

このような場合には、家族信託のメリットをあまり発揮させることができなくなることもあります。

家族が円満ならば遺言が勝る

「家族が円満ならば」という条件付きであれば、家族信託よりも遺言の方が使い勝手が良いということも大いにありえます

例えば上記のケースで、両親とも遺言で「全財産を次男に渡す」ということにしましょう。

すると、次男はその財産を自分の自由に使うことができます。

親なき後、長男が施設に入って住む家が不要となった場合にはその不動産を売却しても良いわけですし、預貯金だって自由に使えます。またその財産を、自分の配偶者や子どもに相続させることもできます。

しかしその反面、次男が長男の面倒をまるで看なくなってしまうという危険もあるわけです

両親の相続財産は次男名義となりますので、次男がどう使おうが誰にも止められません。

そのため、家族が円満であればという条件付きで遺言の使い勝手が勝るというわけです。

親なき後の対策は自分の家庭のケースをよく考えた対策を取るべき

というように、家族のケースによって家族信託を用いたほうが良いのかと遺言を用いたほうが良いのかは変わってきます。

家族信託は遺言と比べると専門家への報酬は高額となりますので、その点も考慮する必要があるでしょう。

例えば銀行を受託者とした信託は比較的高額となりますが、銀行は残された子の口座にお金を振込むだけであり、直接本人の様子を看てくれることはありませんので結局は成年後見人が必要となります

成年後見人がいるのであれば、家庭裁判所の監督の元、本人のために支出を行いますので、特に信託を必要とする理由も乏しくなってしまいます。

成年後見人を前提とした信託もありますので、成年後見人を利用することに特に抵抗がない場合であればそのようなサービスの利用も検討して良いかもしれません。

親なき後を考えた遺言のご相談は当事務所へ

当事務所では直接的な家族信託の設計業務は現在行っておりません。多くのケースが遺言で対応できると考えているからです。

また当事務所では、意思能力が無いとみなされる方が相続人となる場合に、成年後見人をつけなくても済むようにする遺言内容の作成を主としていますので、それに勝る内容の信託設計を行うことのできる信託の専門家も存じ上げておりません。

遺言で対策を取れるのか、信託を用いたほうが良いのかでお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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