関係無いと思っていた親族の相続で成年後見人がつけられてしまうことがある!

成年後見人をつけない相続

自分の家族以外の相続で成年後見人をつけなければならないことがある

自分の親や配偶者の相続の際に成年後見人をつけないための準備をしていた場合であっても、自分の家族以外の相続のために成年後見人をつけなくてはならなくなってしまう場面というものがあります

これは、限定的であるがゆえに、なかなか想定することができないため、いざ該当してしまうとショックは大きいでしょう。

高いお金をかけて公正証書遺言まで作成したのに、そのことも無駄になってしまう。そんな状態にならないためにも自分の家族に当てはまっていないかを必ずチェックしておきましょう。

事例:親が遺言を作成して対策を万全にしていた場合

A妻(B)子2人の4人家族。長男に重度の知的障害があるため、相続の際に長男に成年後見人がつけられないよう対策を取っていた。

AとBが公正証書遺言を作成し、遺言執行者を健常者の長女に定めた。これならAが亡くなった時もBが亡くなった時も成年後見人をつけずに相続手続きを行うことができる。

そしてAの妻Bが亡くなった。しかし遺言により長男に成年後見人をつけずに相続手続きを行うことができた。自分が亡くなった時も長女に余計な負担をかけずに済むと安心していた矢先、Aの元にBの兄から連絡が入った。

「Bの妹が亡くなりました。妹は結婚もしておらず、子もいないため、Aのお子さんにも相続権があります。妹の相続手続きはすでにこちらの司法書士に頼んであります。」

妹の相続人は兄弟になるが、すでに姉にあたるBが死亡していたため、代襲相続が発生する。姉は遺言を残していなかったため、遺産分割協議による相続となるが、Aの長男は意思能力が無く、成年後見人をつけなければ相続手続きができない。

Aは長年関係が薄かったBの兄弟関係には関心が無かった。そのため、今回起こったことは全く予想ができなかった。Bの兄弟達もこちらの事情はほとんど分からないため、早く相続手続きをしてくれと迫ってきた。

自分の親族関係をチェック!該当したらすぐに対応を!

以上のケースから、今すぐに確認しておきたい親族関係について解説します。

自分の子が相続人になってしまうパターンは子から見た「叔父・叔母」の相続になります。すなわち自分達親世代から見ると兄弟にあたります。

そのため、以下に該当している場合は事前に対策を取っておかなければなりません。

  1. 配偶者側の兄弟が結婚していない
  2. 配偶者側の兄弟が結婚はしているが子がいない
  3. 配偶者側の兄弟の全ての子が相続人無くしてすでに亡くなっている

上記のパターンでは、(配偶者側の兄弟が作成した)遺言の無い限り、自分の配偶者が死亡した後に、自分の子に相続権が発生します。

分かりやすく言えば「自分と配偶者の兄弟に子がいない場合は危険」ということです。

もちろん自分や自分の配偶者が生存していれば問題はありません。しかし人はいつ亡くなるかは予測できません。自分の配偶者が死亡した後、慌てて対策を取ろうとしても時すでに遅しということがあります。

対策は一つ!「子のいない兄弟に遺言を作ってもらう」

このようなケースで自分の子に成年後見人をつけないようにするには、子のいない兄弟姉妹がいれば「その者に遺言を書いてもらうこと」。これしかありません。

子のいない兄弟姉妹が複数いればその者全てに遺言を作成してもらう必要があります。これは非常に大変だと思います。

こちら側で遺言作成費用を負担してまで行うかは考えものですが、兄弟側も「成年後見人がついたら法定相続分通りに相続しなければならない」などということは全く理解していないでしょうから、その点を含めて説得してみるのも良いと思います

例外中の例外!「子のいない兄弟に財産を整理しておいてもらう」

かなり例外的にはなりますが、事前に財産を整理しておいてもらうことでも成年後見人を回避できる可能性はあります

成年後見人を回避できる可能性がある財産整理方法

(子のいない兄弟姉妹について)

  • 自分の持分がある不動産を持たない
  • 自分の預金口座から他の兄弟が引き出しをできるようにしておく
  • その理由について推定相続人全員に説明しておく

このようにしておけば、成年後見人無しで手続きできる可能性はあります。本人や推定相続人全員が承知していればトラブルが起こる可能性も少ないでしょう。

対策には時間がかかる!早めの確認&準備を!

以上、自分達以外の親族の事情によって成年後見人がついてしまう事例の紹介とその対策について解説させていただきました。

該当する方は、早めの対策が必要です。

遺言を作成する場合、公正証書遺言であれば1か月〜2か月ぐらいかかることを見込んでおかなければなりません

またその兄弟姉妹が認知症になってしまえば対策自体が難しくなってきます

自分の家庭は万全の親なきあと対策をしていたのに、他人の事情で成年後見人をつけざるを得なくなってしまうのは大変悔しく、もったいないことだと思います。

当事務所では、このようなご家族の手続き支援を行っていますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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