高齢者の定期預金は危険?認知症のリスクを考えて財産管理を行おう

成年後見人をつけない財産管理

高齢者になってから定期預金を保有するリスクを銀行は教えてくれない

高齢者の方で定期預金を持っている方は大変多いと思います。

本人の口座から家族が出金する

定期預金は普通預金よりも金利が高いため、当面使うあてがないから「とりあえず定期」と考える方が多くいらっしゃいます。

もちろん銀行も定期預金を勧めてきます。銀行にとっては定期預金を作ってもらった方が実績にもなるでしょうし、顧客が将来困ることになるというのは考えもしませんから

もちろん他の家族に財産が豊富にあったり、高齢者本人の財産を使わずとも本人の支出を代わりに行うことができるのであれば定期預金を保有することに問題はありません。

しかし、本人の入院費用や入院費用は自分で支出しなければならない状況であり、本人の預金が「定期預金メイン」である場合には困ったことになってしまう場合もあるのです。

本人が定期預金にしていたばかりに困ってしまうケースというのは以下のようなケースです。例を挙げて解説します。

定期預金が支障となるケース例

母(80歳)は一人暮らし、娘(55歳)は母の家の近くに娘の家族と暮らしている。父は数年前に他界し、母は保険金や相続などで受け取った3000万円を銀行の勧めるまま全て定期預金にした。

日頃の生活は年金を少し上回るほどで賄えていたので、娘にできるだけ多くのお金を残すためにも定期預金はなるべく解約しないようにと過ごしていた。

ある時、母が転倒し大腿骨を骨折してしまう。入退院を繰り返していたが、段々認知症状が顕著に現れてきた。娘はキャッシュカードを預かり、母の入院費や通院費などの必要費を支出してきたが、母の普通預金が底をついてしまった

定期預金は成年後見人をつけないと解約できない

この状況だと、娘が自腹を切って母の生活費を支出しなければならなくなります

定期預金を解約することができれば良いのですが、母に認知症があることから現段階では難しいでしょう。

成年後見人をつければ定期を解約することは可能ですが、成年後見人をつけるための費用+毎月の費用がかかりますし、今までのように娘が母の預金を引き出すことは不可能となります。

知的障害者には成年後見人をつけるのが一般的

娘には別に家族がいますし、今後いつまで続くか分からない継続的な支出は家計の負担になるでしょう。さらに母が亡くなった際には多額の葬儀費用を建て替えなければなりません。娘は「母親が定期預金になんてしてなければ良かったのに…。」と後悔することになってしまいました。

いつでも母親の預金を引き出せるようにしておく方が良い?

勝手に他人の預金を引き出すことは許されません。しかし、それが常に悪いことかというと一概には言えないでしょう。

上記のケースの場合、娘が母の必要費を支払うために預金をおろしているということ、推定相続人が娘一人だということから、警察に事件性があると見られることはまずないでしょう。

しかし、銀行としてはそれを名言されると困りますのであまり堂々と公言することのないようにしたいものです。

兄弟がいる場合などはトラブルの一因となる可能性がありますので、よく話し合った上で支出の記録はしっかり取っておきましょう。

良いか悪いかは別として、子にキャッシュカードを渡して暗証番号を教えておくことはよくあります。

そうしておくと、本人が亡くなった場合に葬儀費用などの必要費を下ろすことも出来ます。銀行の相続手続きが終わっていない場合でも相続税の支払いに充てることもできます。

銀行に本人の死亡を告げると口座はすぐに凍結されますが、死亡後に自動引き落としされたお金やキャッシュカードで下ろされたお金には、銀行は一切関与しないというのが通常です。

暗証番号が分からなくても施設費用には自動引落が使える

通帳と銀行印は渡されているがキャッシュカードの暗証番号が分からないという場合でも「自動引き落とし」の手続きが行える場合があります。

施設に入所した場合、本人名義の口座から自動引き落としの手段を取ることが一般的です。

しかし、これも普通預金であるからこそ取れる方法であり、定期預金から自動引き落としを行うことは出来ません

高齢者の定期預金は普通預金を十分に確保した上で行うのが安心

以上、定期預金を作っていたことで困ることになるケースを挙げましたが、定期預金を作りたい場合は普通預金を十分に確保した上で行うのが良いでしょう。

「自分がもし入院した時や施設に入った時、亡くなった時の葬儀のためにお金を取っておきたい」と銀行に相談すると、何も考えずに定期預金を勧められてしまうことがあります。

「もしもの時のためのお金」は定期預金ではなく普通預金のほうが良い場合があるという考えを頭に入れておき、高齢期の財産管理に役立ててください。

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