子が18歳になったら親がすぐに遺言を作らないと子に成年後見人をつける結果になる
これは「子に意志能力の無いとみなされる程度の知的障害や精神障害がある場合」の話ですが、現在このことを知らない親御さんがほとんどです。
そのため、対策を知らなかったまま成年後見人をつけることになってしまう市民の方が多いのです。
子が18歳になったら親がすぐに遺言を作らなければならないということが世の中の常識になっていれば、それほど困る家族は増えていないでしょう。
しかし今の社会ではこのことについて詳細に説明できる専門家はいません。また銀行や法務局などの相続に関わる機関でも、全く周知やアドバイスをしていないのが現状です。
今回は、この社会問題となっている「成年後見人をつけたくないのに無理矢理つけることになってしまう」という困った状況を打開するための新常識についてお知らせいたします。
なぜ子どもが成年になった途端遺言が必要になるのか?
それではまず、なぜ子どもが18歳に達した途端、親が遺言を作らなければならないのかについての説明をします。
簡単に言うと「親権が無くなるから」なのですが、なぜ親権が無くなると親が遺言を作らなければならないのかを順にお話します。
親が急に亡くなった…!その時に初めて知らされる人がほとんど!
意志能力に支障がある成人の方が相続手続きを行う場合、成年後見人等の申し立てを行う必要があります。
このことを知らない人がほとんどであり、そもそも成年後見人自体もあまり理解されていないでしょう。
メリットばかりの制度であれば問題ないのですが、この制度には大きなデメリットもつきまといます。
成年後見人のデメリットについては他の記事や動画で紹介しているので、まずはそちらを参考にしていただければと思います。
そしてこんな方もいます。
「いずれは遺言を書かなければ成年後見人を子どもにつけなくちゃならないのは知っているけど、私達はまだ40代だし、息子はまだ20代だしね…。」
その時悲劇が起こります。
親の片方が事故で亡くなってしまったのです。
親子に起こった悲劇とは…?
父親が交通事故で亡くなりました。残されたのは母と長男、次男です。
長男には重度の知的障害があり、会話をすることもできません。
父の銀行口座から、葬儀のお金を下ろすために銀行に相談に行くと…。
「旦那様の口座を解約するには成年後見人が必要です。」
成年後見人の申し立てのリスクとは?
成年後見人のデメリットについては、多くのご家族を悩ませています。
まずは「家族がなれるとは限らないこと」。
誰を成年後見人にするかは家庭裁判所が決めるものなので、100%家族がなれるとは限りません。
また相続手続きの際には母と長男の利益が相反するので、そこも家庭裁判所は考慮することでしょう。
家族が成年後見人になれたとしても、相続手続きには別途特別代理人という人を選任して手続きを行う必要があります。
また後見監督人という第三者が就く可能性もあります。
後見監督人は家族等が成年後見人になった場合、その職務を監督する立場にある人間です。
どちらにせよ、今までどおりに長男の預金をゆるく管理を行っていくことは難しくなります。
また専門家の後見人がついた場合も、家族が後見人となり後見人監督人がついた場合も報酬を払い続けることになります。
時には自宅を売らなきゃいけなくなることも…!
時には住んでいる自宅を売却しなければならない場面もあるかもしれません。
前述の例で、父の財産が「土地建物(3500万円)」、「預貯金・有価証券(500万円)」だった場合、長男が受けるべき法定相続分は1000万円(相続財産の四分の一)となります。
しかし長男に渡す現金が足りないのであれば、自宅を売ってその売却代金から支払わなければならなくなります。
自宅を売りたくなければ、成年後見人と話し合って他の方法を取れるように考えなければならないでしょう。
家族の保険、資産運用は全て水の泡に…。
その他にも成年後見人をつけて相続を行う場合は、様々なデメリットがあります。
- 子どもの預金に一切手を付けられなくなる
- 子の福祉サービスへの関与ができなくなる
- 不動産が売却できなくなる(共有した場合)etc…
「残された家族のために…」と保険や積立などに力を入れている親御さんも多いですが、それらの計画は、遺言を作っていない場合は全て水の泡になります。
実際に当事務所へ駆け込まれる方で多いのが「親が子のために、計画的に資産運用をしていた」という方ですが、ハッキリ言って全て無駄になってしまいます。
障害のある者が家族にいる場合の資産運用は「遺言があってはじめて」有効になるからです。
また、保険にかけるお金があるならまずは遺言のために費やしたほうが賢明です。
将来保険金がもらえても、その分以上に損をしてしまう可能性が高いからです。
なぜ遺言が必要なのか?
それではなぜ意志能力に支障のある子がいる家庭では親が遺言を作る必要があるのかについて説明します。
成年後見人を回避できる
通常の相続手続き(遺産分割協議による手続き)では、相続人全員の関与が必要です。
相続人全員が遺産分割協議に参加し、相続財産の分配方法を決めなければならないのです。
そのため、相続人の中に意志能力に支障がある者がいた場合、成年後見人等が代わりに遺産分割協議に参加しなければならなくなってしいます。
しかし遺言は遺言者の意志が最優先されます。
遺言者が遺産の分配方法や誰が手続きをするかを決めることができるのです。
そのため、相続人全員の関与は必要ありません。
結果、意志能力に支障がある者がいても、成年後見人を要せずに相続手続き自体は完結してしまうのです。
財産を効率的に移転できる
遺言では財産の分配も自由に指定できることは前述しました。
そのため、相続人の誰かに財産を渡さないこともできます。
はっきり言って、子が障害年金(2級でも)を受給している場合、必ずしも財産は必要ありません。
施設に入所するにも、障害年金でほとんどが賄えてしまうからです。
それでしたら他の家族(親や子の兄弟)に財産を渡しておいたほうが効率的に使うことができるでしょう。
遺留分の問題はありますが、これも成年後見人がつかない場合、ほとんど問題にはなりません。
また意志能力に支障がある方に過分な財産を残し、使い切れずに国へ渡ってしまうというケースも多くあります。
子が未成年でも遺言は作れる!
子が未成年のうちでも、親が遺言を作ることは可能です。
そのため最も安全なのは、子が18歳に達する前に遺言の作成を終了しておくことです。
これは重度の知的障害、精神障害のある子を持つ親の新常識になりつつあります。
遺言が無いことで窮地に追い込まれているご家族は、毎年たくさん発生しています。残された家族を路頭に迷わせるかどうかは親次第というわけです。
若年型親なきあと遺言サービスを利用しよう!
当事務所では、路頭に迷う家族を少しでも減らすため、通常の遺言作成サービスに加え、若年層向けの遺言作成サービスを開始しました。
将来のことを若くして考えるのは非常に難しいですが、最も悲惨な状況を回避するために考えることはシンプルです。
若年型親なきあと遺言サービスの概要
若年型親なきあと遺言サービスとは、当事務所が提供する、若い世代から作れる重要点のみを抑えたシンプルな遺言を作成するためのサービスです。
概要
当事務所が指定する、成年後見人を回避するためや財産を活用できるための項目に絞ったシンプルな遺言案を作成し、公証役場とのやり取りまでを行います。
対象
障害のある子が20歳までの親御さん
費用
報酬120,000円(税別)
+
公証役場への手数料(資産により50,000円〜100,000程度が一般的)
※財産額が5千万円以上は+55,000円、1億円以上は+110,000円が追加となります。
※証人2名は公証役場に依頼する形となります。
※当事務所での証人や立会をご希望の場合は別途日当および交通費が必要です。
準備物
- 遺言者の戸籍
- 財産を渡す者の戸籍等
- 遺言者の印鑑証明書(三ヶ月以内)
- 預貯金通帳の見開き面および現残高ページのコピー
- その他財産がわかる資料(不動産・車等)等
※年齢条件以外の方は通常料金の遺言作成サービスをご利用ください。
親なきあと遺言を作成して家族に安心を届けましょう
障害のある方がいる家庭では、遺言があるのと無いのでは数百万円〜数千万円の違いが出てきてしまいます。
遺言を作成するのにも費用はかかりますが、遺言がない場合に損をする額に比べれば非常に軽微なものです。
親の遺言は家族全体の安心に繋がりますので、早めに作成し、親なきあとの準備を万端にしましょう。