成年後見人をつけないで相続をすることのリスクとは【メリットとデメリットを理解する】

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成年後見人をつけないで相続をすることのリスクとは

「成年後見人なんてつけたくない!」なんて思っていらっしゃる方は大変多いと思います。

本来、成年後見人は本人を保護したり代弁したりする機能を持つものとして誕生しました。

成年後見人の就職

しかし、本人を保護する者や権利を守ってくれる者がいるのにも関わらず成年後見人をつけなければならないという矛盾した状況に陥っているケースがあとを絶ちません。その典型例が「障害者の相続発生のタイミングでつけた成年後見人」です。

両親のうち、どちらかが亡くなった場合に若くして成年後見人をつけられてしまうケースが多くあります。その場合、もう一方の親が今までと変わらず本人をみることができるのに成年後見人が財産管理及び福祉サービスの契約を行うようになるというおかしな状況が発生してしまうのです。

だからといって成年後見人をつけずに強引に相続手続きを行ってしまった場合、大きなリスクを伴います。知識無く成年後見人をつけない相続を行うことはおすすめできません。

今回は、障害を持つ者が相続人に含まれている場合に、成年後見人をつけずに相続を行うことのリスクについてお伝えしたいと思います。

遺産分割協議が無効となる可能性がある

まず、相続手続きを行うにはほとんどの場合「遺産分割協議」が必要となります。遺産分割協議とは相続人の遺産をどのように分けるかを決める契約行為です。

遺産分割協議書が無効になる

この遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりませんが、相続人の中に「意思能力」や「判断能力」が無い者がいた場合、その遺産分割協議は無効となってしまいます。

そのため遺産分割協議を行い、その内容を記した遺産分割協議書を銀行等に提出して名義変更を行った場合、後からその遺産分割協議書が無効と判断されてしまうと名義変更を取り消して元に戻さなければならなくなるという可能性があります。

遺産分割協議が無効とされてしまった場合には、意思能力等が無いと判断された者に成年後見人がつき、成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加します。成年後見人は原則本人の法定相続分を守る分配割合の内容でないと遺産分割協議書にサインをしません。

結果的には「遺産分割協議のやり直し」及び「成年後見人の選任」、「法定相続分での分割」というデメリットが及びます。

犯罪行為の疑いをかけられてしまう

遺産分割協議書はその内容に相続人それぞれが納得した上で署名、押印をすることによって成立します。

ということは、そもそもその内容を理解することができなければ署名、押印もすることができないという理屈になります。

そのため意思能力や判断能力が無く、遺産分割協議の内容が分からないのに署名、押印がされているということに懐疑がかけられる可能性があります。

本人を騙して遺産分割協議書に署名、押印をさせてしまえば「詐欺罪」の構成要件に該当しますし、本人が嫌だと言っているのに無理矢理署名、押印させれば「強要罪」の構成要件に該当してしまいます。

成年後見人をつけないで相続をするメリット

前述したように、成年後見人をつけないで相続を行うにはリスクが伴います。

その反面、成年後見人をつけないで相続を行うことはメリットも大きいです。

単純に成年後見人をつけないで相続を行った場合のメリットについて何点かご紹介しておきます。

相続人の自由に遺産分割協議の内容を決められる

遺産分割協議は相続人全員が納得すれば、その内容は自由です。

誰かが全ての不動産を受け継ぎ、誰かが預貯金全てを受け継ぐという内容でも成立します。

また、誰かが全く相続財産を受け継がないという相続放棄に似た結果を選ぶこともできます。

しかし、成年後見人がついた場合、遺産分割協議の内容は画一的になることが多いです。

本人の受け継ぐ財産は「法定相続分通り」。このラインより劣る内容の遺産分割協議は受け付けません

もちろん本人の保護を図るためなのですが、これにより本来自由であるはずの遺産分割協議は自由度を失うことになります。そのため、家族の財産運用に支障をきたす可能性があります

成年後見人がつく必要が無いのに報酬を支払う義務が生じる

障害者の中には成人になっても親や家族の支援を受ける必要がある方は多くいます。

しかし親や家族と同居し、必要な支援を充分に受けられるにも関わらず成年後見人をつけられてしまった場合、デメリットの部分が大きく現れます

成年後見人の費用

まずは費用。若くして成年後見人がついた場合、本人が亡くなるまで成年後見人がいなくなることは原則的にはありません

そのため、高齢者に成年後見人がつく場合と比較すると何倍もの費用がかかる可能性があるというわけです。

成年後見人にかかる費用は若いほど多い!【1000万円以上の差がでることも】

通帳の没収

また、本人に成年後見人がついたとたん、今まで家族が管理していた通帳は成年後見人に渡さなければならなくなります。家族が貯金していた本人名義の通帳も同じです。

多額の預貯金を眠らせておく

成年後見人という全くの他人(第三者後見人の場合)に子の財産が管理されるという納得のいかない状況になってしまうのです。

成年後見人をつけないで相続を行おうと考えるなら十分な知識が必要

成年後見制度は意思能力や判断能力が無い方へのセーフティネットとしては非常に優れた制度です。しかし状況によっては制度の欠陥部分が大きく露呈し、デメリットのほうが強くなる場合もあり得ます。

とはいえ、任意で成年後見制度を利用するしないを検討するには知識と技術が必要です。何も分からないまま手続きを進めることは大変危険だと思います。

当事務所では、成年後見人をつけた場合のメリット・デメリットを、本人と家族の状況を考慮した上でご説明いたします。

成年後見人で失敗しないためには、漠然と成年後見制度を考えるのではなく、成年後見人をつけないで相続を行った事例などを知った上でお考えになることが大切だと思います。

ご相談は無料でお受けしておりますので、ぜひご活用ください。

成年後見制度を利用する前にぜひ一度ご相談を!新たな方法をご提案できるかもしれません!
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