後見制度支援預金とは?後見支援信託と並んで家族成年後見人等が利用する制度

障害者の将来(親なき後問題)

後見制度支援預金・後見制度支援信託とは?

最近良く耳にする機会のある「後見制度支援預金」「後見制度支援信託」とは何でしょうか?

後見制度支援預金や後見制度支援信託とは、「成年後見人と成年被後見人が家庭裁判所から求められる預金や信託」のことです。成年後見人や被後見人の助けになる新サービスという意味ではありません。

ではなぜこれらの預金や信託を強いられることになるのでしょうか。

今回はこの両者の制度についてできるだけ分かりやすく解説したいと思います。

ついに家庭裁判所が成年後見人のお金を管理下に置く!?

後見制度支援預金や後見制度支援信託は、家庭裁判所の指示により、成年後見の申立時に(財産額によって)成年後見人と成年被後見人に利用を求められる銀行や信託銀行のシステムです。

このシステムを使うことにより、成年被後見人の財産はより強固に守られることになります。

仕組みについて説明すると、

①成年被後見人本人の財産(現金)を銀行または信託銀行に入金する。

②成年後見人は、預け入れたお金が必要になった時は家庭裁判所に申し立てる。

③家庭裁判所が必要と認めれば指示書が発行され、成年後見人は銀行に指示書を提出することによって預金の引き出し(正確には振込)を受けることができる。

という形になります。

今までは成年後見人に対しての監督という役割を主とし、補足的に直接本人の財産に関与するというイメージだった家庭裁判所ですが、今回は成年被後見人の預金を直接管理下に置くようになったというイメージを持たれる方も多いでしょう。

この制度により、成年被後見人の財産を強固に守れることにはなりましたが、その犠牲となるのは成年後見人です

制度を利用することでより事務は煩雑になるため、頭を悩ませることもあるかもしれません。

しかし逆に考えれば、家族が成年後見人になる場合でも、成年後見監督人を置かれる可能性が低くなるとも言えるため、必ずしもマイナスばかりではないとも言えます。

※専門家成年後見人と家族後見人が選任され、後見制度支援信託等の締結後に専門家後見人が辞任するという流れを家庭裁判所が想定しています。

次に実際の銀行での具体的な取り扱い方法を見てみましょう。

後見制度支援預金の具体的な仕様例

それでは、実際に某銀行の後見制度支援預金の具体的な取り扱い方法を説明します。

今回は後見制度支援預金の仕様を挙げますが、後見制度支援信託についてもかなり類似していますので概ねの内容が分かっていれば良いと思います。

対象者

家庭裁判所が「指示書」を交付した者

※被補助人、被保佐人は対象となりません

期間

期間の定め無し

預入金額

1円から(1円単位で可能)

払い戻し方法

家庭裁判所発行の「指示書」があればいつでも可

払い戻しの種類

・通常の払い戻し

入院費等の一時的な支出が発生した場合等において、家庭裁判所が、必要と認めた際

・定期送金

自動振込等により、指定された間隔で指定金額を定期的に後見支援預金から成年後見人が別途管理する生活口座等へ振替える必要があると家庭裁判所が認めた際

利息

変動金利(無利息型もあり)

利息への税金

20%の源泉分離課税

手数料

管理手数料は無料

他行への振替は有料

その他

  • キャッシュカードの発行は無し
  • ATMの利用不可
  • 自動引落や年金の振込先の指定は不可
  • 無利息型は預金保険制度の対象

後見制度支援預金や後見制度支援信託は銀行によって取り扱いが違う!

困ったことに、後見制度支援預金や後見制度支援信託は銀行によって取り扱いが微妙に違います

あまつさえ名称自体が異なる場合もあるため、これが市民を悩ませる要因にもなっています。

そもそも後見制度支援預金と後見制度支援信託で仕組み自体が変わらないのですから、両銀行で共通の名称、仕様で一つのサービスを作れば良いのですが、そこまで市民の都合を考えはしなかったということでしょうか。

成年後見制度については「常に犠牲は家族」という格言がついて回るようですね。

後見制度支援預金等を回避するためには

後見制度支援預金や後見制度支援信託の煩雑さを回避するためには「家族が後見人にならないこと」です。

家族が成年後見人になった場合、後見監督人をつけた上に制度の利用を求められるというパターンが多くなると考えられますので、そもそも家族が後見人にならなければ手続き自体は専門家成年後見人が行うことになります。

しかし「成年後見人は家族がなるべき」という国の急速な方向転換により、家族後見と共にこの制度の利用は促進されていくでしょう。

最も悲劇なのが、相続により強制的に成年後見制度の利用を強いられるというパターンです。家族が本人の世話をできる状態であるのに相続による財産移転を生じたため、特に必要のない成年後見人をつけることを余儀なくされます。

これに対しては遺言を残すことで対応できますが、それを知っている市民はほとんどいません

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