自分や家族の施設を考えている人へ
自分自身が年を取り、施設への入所が必要となった場合、どこへ入れば良いのか。
親や配偶者を入所させることになった場合、どこへ入ってもらいたいのか。
現在では多種の高齢者施設が存在し、一般市民にはなかなか判別がつかないほどです。
そのため行政や地域のケアマネが勧めるがままに施設選びをすると、思わぬコストがかかってしまうかもしれません。
今回は福祉現場で20年の勤務経験がある行政書士の私が考える、選ぶべき高齢者施設の流れについてお話します。

特別養護老人ホームを目指していてもハードルは高い…
お金がほとんどかからず安心して終の棲家となれるのは特別養護老人ホーム(特養)しかないというのはご存知の方も多いと思います。
しかし特別養護老人ホームに入るのには、全ての施設の中でも最もハードルが高いのも事実です。
まず入りたいという人が多くいるため、ほとんどの特別養護老人ホームではいわゆる「待機(入所待ち)」となっています。
そしてなおかつ入所条件が「要介護度3以上」であり、自治体はなかなか要介護度3の認定をしてくれないと言われています。
そのため多くの高齢者が他の種別の施設を選ばざるを得なくなっているという現状があります。
有料老人ホームなどでは即入居できるところも少なくありません。
しかし初期費用および毎月の費用は高額なもので、自身および家族の家計を圧迫する可能性があります。
お金をかけずに特養を待つ方法がある
しかし多くの方が知らない、最もお金をかけずに特養を待つ方法があります。
もちろん在宅で待機するのが一番お金はかからないのですが、介護者である家族の負担は多大なものであり、極力回避するべきだと思います。

これからお話するのは施設に入所しながら特養を目指すという方法ですので、本人は手厚い介護やリハビリを受けられ、家族は負担を少なくすることができます。
それが「老人保健施設」を活用した待機方法です。
老人保健施設とは?
老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指すために介護やリハビリを受けながら生活を送ることができる施設です。
そのため、「病院と自宅の中間施設」とも呼ばれ、入所期間は比較的「短期」と言われています。

入所は要介護度1からの利用になりますが、ショートステイは要支援でも利用することが可能です。
行政やネットなどからの情報では、入所期間は「3ヶ月が基本」などと書かれていますので、多くの方に長くは入所できないだろうと考えられています。
しかしこの老人保健施設は、ほとんど知られていない特殊な使い方ができるのです。
老人保健施設には「延長」というシステムがある
老人保健施設の入所期間は、基本的に「3ヶ月」と謳われていることは確かです。
しかしその実態は基本通りではありません。
私は老人保健施設に6年半勤めていましたが、短いスパンで対処している利用者ばかりではありません。
なんと1年以上入所している方も多くおり、最大では3年ほど入所している方もいたりします。
なぜそんなにも長い期間入所できるのかと言うと、老健には「延長」というシステムがあるからなのです。
入所時にいきなり1年の入所を見込んで入れるわけではありません。まずは基本的な入所期間を設定して申し込みをします。
そして退所予定が近くなると、施設内で検討会議が行われます。
予定通りの退所日か延長するかを決める会議です。
身体的な理由や家庭の事情などを考慮し、予定通りの退所が難しいとなれば、入所期間の延長が決定されるのです。
老健の延長を組み合わせれば長期の利用が可能になる!
しかもこの延長システムですが、1回しかできないわけではありません。
施設が必要と判断すれば何度も使用できるのです。
例えば初回の検討会議で1ヶ月の延長が決定されたとします。

そしてその延長した1ヶ月が過ぎる前にまた検討会議が行われ、3ヶ月の延長が決まることもあります。
そしてさらに3ヶ月…、と繰り返され、計1年以上入所している方もいます。
入退所を繰り返すパターンもあり!
さらに一度退所をし、少し家庭に戻った後に再度入所することも可能です。
この入退所と延長を組み合わせて、最長3年程度利用していた方もいました。
ご本人ももう慣れたもので「じゃあまた来るね〜」などと職員に挨拶して帰っていく方もいます。

このように入退所と延長の組み合わせで特養を待機しているという方もいるのです。
これは老人保健施設という施設の大義名分もあるため、なかなか公にはできないことだと思いますが、実態は臨機応変に対応することによって、在宅で介護ができない市民の方々の支援をしているのです。
これらは私が実際に働いていた老健での体験をお伝えしたまでであり、もちろん施設の状況(空きがない)により可能性は変わってくると思います。
しかし老健には「在宅復帰」だけでなく「老健待機」に使われているという実態は確かにあると思います。
老健→特養のゴールデンコースを目指すには
現在は在宅介護→特養、有料老人ホーム→特養、グループホーム→特養の流れが多いと思いますが、負担面と費用面で最も優れているのが「老健→特養」だと思います。
もちろんお金に余裕があれば有料老人ホームを利用しても良いと思いますが、「手厚い介護」を求めて我慢して有料老人ホームを選ぶことは考えなければなりません。
なぜなら有料老人ホームと老人保健施設での介護者のレベルはほとんど変わらないからです。
老健はリハビリ機能も充実していますし、医師や看護師の体制は最もしっかりしています。

高齢者施設としての機能、体制はトップクラスに部類する施設であり、なおかつ利用料も本人の収入に応じて減免されるので、とてもリーズナブルです。
そのため、要介護度1以上の方は、まず一番に「老健に入所しながら特養の空きがでたら入所する」ことを目標にするのをお勧めします。
しかしこの老健は、好きなように延長や再入所を認めてもらえるわけではありません。
以下のことを心掛けて、互いに信頼関係を気付いていくことが重要だと考えます。
相談員と密に連絡しできるだけ施設の要望に沿った利用をすること
老人保健施設を繰り返し利用し続けることは利用者側も心掛けることがあります。
それは「できるだけ施設の要望に沿った利用をすること」です。
もちろん一発アウトの問題行為(利用者や職員への暴力等)はもってのほかですが、家族としても、施設から「延長は3カ月にしてほしい」、「一旦自宅へ戻って〇〇ごろ入所して欲しい」などの打診があった場合には、できるだけ応じたほうが良いと思います。
施設はその点で「柔軟に入退所ができる家族体制なんだな」と認識し、繰り返しの利用に前向きになってくれると思います。

入所延長は利用者の「権利」ではなくあくまでも「例外」ですので、こちらが一方的にお客様だという立場で強硬に接すると逆に大損をする可能性があるので注意しましょう。
親と子の想いを叶えるために
親御さんとしては、子に負担をかけないために少しでもお金をかけずに介護施設に入所したいとお考えの方も多いと思います。
また子としても、お金をかけられなくてもできるだけ手厚い介護を受けさせてあげたいと感じているでしょう。
その両者の想いを叶えるのは、やはり老健→特養のゴールデンコースなのだと考えます。
今のうちによく考え、
- 入退所を繰り返してでもできるだけお金をかけずに特養に入りたい
- お金をかけなかった分は子供や孫たちのために使ってほしい
- 高くはないけど老健や特養は体制のしっかりした施設であること
などを家族で話し合い、共通の認識にしておくことが重要だと思います。
当事務所では、福祉現場経験豊富な行政書士が、親から子へのお金の残し方についての支援を行っています。
お困りの方はぜひ一度ご相談ください。





