誰でもできる親なき後対策は?
親なき後問題というのは多岐に渡ります。
「親が子にどうやって財産を遺せば良いのか?」、「誰が子の面倒を見てくれるのか」、「子が安心して暮らすためにはどうすれば良いのか?」などがあると思います。
今回はその中の一つ、かなり多くの方が悩まれている「相続で子に成年後見人をつけないようにするにはどうすれば良いのか」についての一つの方法をご紹介いたします。
子に成年後見人をつけたくなければそのように対策すれば良い
「子に成年後見人をつけたくない」という相談をされる方が多くいらっしゃいます。簡単に言うと、そのような場合は「そのような対策を取っておけば良い」ということになります。
では、そのような対策とはどのようなものか。それはいくつか考えられます。
とは言っても、「相続が発生した際に成年後見人をつけずに手続きを行うため」というケースに限られます。しかし、これが一番ご家族を悩ませる問題とも言えます。
相続が発生した時に銀行等から「成年後見人が必要です」と言われてしまう。これはある意味「最後の宣告」とも捉えてしまう方も多いでしょう。
今まで通りに子を見ることができない。この財産管理や福祉サービスの方針は全て成年後見人の権限となります。いわゆる「親子関係の遮断」と捉えられてしまうことも理解できます。
持論ですが、子に成年後見人をつけるタイミングで一番悲しいのが「相続をきっかけとする場合」です。この場合は、「子をみることができるのに成年後見人がついてしまう」からです。
もちろん家族が後見人になることはできます。しかし、「今まで通り」とうわけにはいきません。成年後見人となった家族には重大な義務が課せられることになるのです。
相続をきっかけとして子に成年後見人をつけることを避ける一番安価で簡単な方法は「自筆証書遺言」!
相続をきっかけとして子に成年後見人をつけることを避ける方法はいくつかあります。しかしその中で、「最も安価で、最も簡単な対策方法」というのが「自筆証書遺言」です。
自筆証書遺言というのは、遺言の一つの形式であり、最も簡単であり、最も無効となることが多かったいわくつきの遺言です。
自筆証書遺言は定められた形式があり、それに適合していない遺言は全て「無効」となります。その遺言が無かったことにされてしまうのです。そのため、遺言の主流は確実性の高い「公正証書遺言」がダントツでした。
しかし、法改正により、自筆証書遺言の確実性を高める制度が確立しました。この制度を使えば高確率で自筆証書遺言が有効となるため、今後は遺言の主流となることが期待されています。
ただし、自筆証書遺言は家庭裁判所の「検認」が必要であり、さらに銀行からの信用も公正証書遺言には及ばないと考えられます。
どうしても公証人が太鼓判を押した書面と比べると証拠力が弱いという印象が持たれるのです。
しかし、これは従来の自筆証書遺言のイメージであり、前述した法務局の自筆証書遺言保管制度と家庭裁判所の検認を合わせることで、銀行からのイメージも変わってくるのではないかと考えています。
おすすめはやはり「公正証書遺言」!
ということで、今後の自筆証書遺言についての動向を見ていくことは必要としても、現在では公正証書遺言が最も安定した遺言方式だと言えると思います。
特に理由が無ければ公正証書遺言で作成することを考えると良いでしょう。
費用としては、公証役場へ支払う手数料として「数万円〜(財産による)」が必要となります。
両親が健在の場合は「ダブル遺言」で!
障害のある子がいる場合、その両親が健在であれば両親がそれぞれ遺言を作成しておくことがベストと言えます。
財産の状況にもよりますが、父と母それぞれの遺産を相続人に分配する場合、それぞれの遺言が無いと成年後見人をつける必要性が出てきてしまうからです。
当事務所ではこのような状況に対応するため、「二人同時の遺言作成」について対応しております。
一人ずつ遺言を作成する場合よりも大幅に報酬を低く設定しているので、ご両親が健在の場合は、原則二人同時に作成するということをお考えになると良いと思います。
また、健常のお子さんがいる場合にはその子も遺言を作成しておけば万全の備えとなります。
基本報酬は料金一覧表に記載されていますが、同時に複数名の遺言を作成される場合は状況に応じたお見積りをご提示させていただきますので、まずはご相談ください。