相続手続では精神的な負担が最も大きい
相続手続と聞くと真っ先に「面倒臭い」というイメージが湧く方が多いと思います。

確かに相続手続きは、相続財産の調査、戸籍等の収集から始まり、遺産分割協議、協議書の作成から各財産の名義変更までを考えると相当の手間が生じることが通常です。
しかしそれは「一般的な相続手続き」の話であり、「障害者・認知症の方が含まれる相続手続き」に関してはより深刻な場合があります。
そこからさらに特有の負担が追加されるからです。
今回は相続手続きを行うにあたって懸念される精神的負担について解説していきたいと思います。
相続手続き中に鬱状態になってしまう人が多い
当事務所で相続手続きのご相談をお受けしている経験上、相続手続きを考えると気分が落ち込み、最悪の場合鬱状態に陥ってしまう方も多くいらっしゃいます。
中には「毎日眠れなかった」、「何度も吐くことがあった」、「涙が溢れてきた」などの症状を訴える方もいました。

今相続手続きに携わっていない方からすると「なんでそんな状況に陥るの?」と思ってしまうと思いますが、私は確かに納得ができます。
もちろん家庭環境や相続の状況により負担の度合いは異なりますが、一般的な相続手続きに比べ、考えなければならないことが多くなるのが普通だからです。
そのため、一般的な相続手続きよりも精神的に参ってしまう人が増加してしまうのは当然だと言えるでしょう。
精神面で負担となる理由
それでは相続手続きで精神的に負担に感じてしまう部分というのはどのような点でしょう。
よくある例を挙げて解説していきたいと思います。
相続人間で意見が食い違う・トラブルになる
これは一般的な相続にも当てはまる最もポピュラーな事項です。
相続人間で財産の分与についての意見が食い違ってしまうということですが、これは財産が多い少ないに関係せず起こり得る話です。
また兄弟間で仲が良い場合でも起こり得ます。
これはなぜかというと、本来相続財産を分与する決定権がある者が不在という状況だからだと考えます。
本来自分の財産を分けるべきであるはずの人間が死亡している訳ですから、その想いを推測することは非常に難しいです。
また亡き者の想いを想像するのは、個人によってそれぞれ異なるのが当然です。
相続人のうちの1人からでも「私には全財産を渡すって言ってたよ」なんて言葉が出れば遺産分割協議が難航する可能性は高いでしょう。

相続を原因として家族間の仲が悪くなってしまうということはよく聞く話ですが、これは亡くなった者が一番望まないことなのかもしれません。
しかしそれを避けることのできる「遺言」を作成しなかったのですから、そのことを亡くなった後になって恨まれてしまうということにもなりかねません。
自分を責めてしまう
遺産分割協議をするにせよ、遺言による手続きをするにせよ、認知症の者や障害のある者については財産を極力渡さないほうが良いという場面はしばしばあります。
財産運用という観点では当然のことであり、また法律的にも問題の無い場合であっても、そのことで自分を責めてしまう方が多いです。
例えば夫婦で相談し、互いに障害のある子と無い子で財産分与の割合に差をつけたとします。

実際に夫婦のどちらかが亡くなり、遺言を執行することになった場合、残された夫婦の一方は当事者となります。
また自分が子として相続財産を受ける場合には、多い取り分を受け取る当事者となります。
その際、障害のある子に渡る財産を少なくしてしまったことで、本人に対して悪いことをしているような気になってしまうのです。
手続きが面倒臭い上に長くかかる
財産の個数によりますが、各機関との手続きを行うにはかなりの時間を要します。
銀行に関しては一件で二週間〜一ヶ月程度、不動産の登記完了までにも一ヶ月はかかります。
そのため、一つの口座に一千万円ある場合と、十個の口座に百万円ずつある場合では、同じ総額でも手間は十倍かかります。
これら全ての手続きを完了するまでは、人によると10ヶ月以上かかることもあるでしょう。
そして10ヶ月経てば相続税の申告期限が訪れます。大きな手続きが続くのです。
その他、不動産売却などがある場合には負担はさらに大きくなります。
相続手続きは慣れた専門家に依頼するのが最も楽
ということで、相続手続きは専門家に依頼するのが最も楽だと言えるでしょう。
しかしその分の費用はかかりますので、相続財産の額と照らし合わせて検討することが必要です。

相続財産が500万円の場合に、専門家に数十万円かけてしまうと残る財産の割合は低いものになってしまいます。逆に相続財産が一億円(預貯金等の換価できる財産が多い)ある場合は、専門家に依頼しても影響はあまりないかもしれません。
また相続人に障害者・認知症が含まれる場合に自分達だけで手続きを行うことはかなりリスクがあります。
通常の手続きに加え「成年後見人の検討」などが含まれてくるからです。
この場合には、障害者や認知症の知識がある専門家に依頼することが重要になってきます。
しかし全国的に障害者や認知症に詳しい専門家というのはほとんどいません。
また、一人の専門家を見つけ出しても、その他の業種(登記手続き・税申告)に知識が無ければ無意味です。
そのため当事務所では、障害者や認知症の手続きに慣れた専門家で連携して相続のサポートを行える体制を整えています。
ネットや郵送を活用し、全国対応を行っておりますので、お困りの際はご相談ください。
メール、電話での初期相談は無料(直接面談は有料)となっておりますので、お気軽にご連絡ください。







