親に不憫な思いをさせたくないという誤解から有料老人ホーム一択を迫られる
自分の親を「有料老人ホーム等」に入れようと考えているお子さん達は非常に多いと思います。
ここでいう「有料老人ホーム等」とは、有料老人ホームなどいわゆる利用料の高い施設のことです。

世の中の高齢者施設では、安く利用できる特別養護老人ホームなどもあるはずですが、それでも有料老人ホームへ入所させる方は多いと思います。
今回は、なぜ親を有料老人ホームなどの高い施設へ入れたがるのかについて、私の考える理由を話したいと思います。
高齢者施設についての知識が無い
まず高齢者施設についての知識をつけるのが難しいという点があると思います。
高齢者の入所施設には、有料老人ホーム(住宅型含む)、グループホーム(共同生活援助除く)、サービス付き高齢者向け住宅、老人保健施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、介護医療院などがあり、どの施設がどんな役割でどれくらい費用がかかるのかを理解するのは非常に困難です。

私ですら細かくは分かっていないのですから、市民の方ではなおさらだと思います。
ニュースや新聞でよく名前が挙がるのが「有料老人ホーム」と「特別養護老人ホーム」です。
「グループホーム」もよく耳にするかもしれません。
すると、一般市民の方には最初からこの3つの施設しか選択肢が無いようなものだと思います。
この三種の施設をひと言で表すと、
- 有料老人ホーム→高級
- 特別養護老人ホーム→待機状態
- グループホーム→認知症
だと思います。
初めて親に施設を利用してもらう場面では、色々な事情があるかと思います。
例えばですが、施設を利用するために初めて介護認定を受ける方では、いきなり要介護度3がつくのは少ないと思います。
そうなるとまず特別養護老人ホームを選択肢から外してしまうわけです(要介護度3から利用できる施設であるため)。
そして親に軽度の認知症があった場合でも、子どもとしては認知症の入所者が多いグループホームに入れるのは忍びないと思ってしまうのではないでしょうか。

そしてすぐにでも入所してもらうには有料老人ホームしか選択肢が無くなるという流れです。
しかし将来的に特別養護老人ホームに入ってもらいたいのであれば、まずは老人保健施設に入所するという手段もあります。
老人保健施設→特別養護老人ホーム、グループホーム→特別養護老人ホームという選択肢もあり、実際に多くの方が選択されています。
高ければサービスが良いと勘違いしている
有料老人ホームは、他の高齢者施設(特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなど)に比べると確かに高いです。
しかし高いからサービスが良いと短絡的に考えることはできません。
なぜなら、サービスの質や量は値段に比例していないからです。
例えば有料老人ホームでの人員配置基準は特別養護老人ホームとほとんど変わりません。
むしろ老人保健施設では、看護師の比率が高いため、有料老人ホームよりも人員体制は良いと言ってもいいでしょう。

そして、有料老人ホームの介護職員の給与は、特別養護老人ホームの介護職員の給与とほとんど変わりません。
となると、有料老人ホームのほうがサービスが良いという根拠は全く無いと言えます。
親と子の想いのすれ違い
「有料老人ホームは高いからその分サービスが良い。せめて親には有料老人ホームに入って欲しい。」と考えているお子さん達は多くいると思います。

しかし有料老人ホームが他の種別の施設と比較してサービスが良いという根拠は無いことが分かったと思います。
親としてはどうでしょう?
自分の介護に高くお金がかかるということは、その分子に残すお金が少なくなるということです。

サービスの質は変わらないのにわざわざ高いお金を払って、子に渡すお金を少なくするようなことは避けたいと思うはずです。
しかしそのことを親子でじっくりと話し合う機会は多いとは言えません。
なぜなら、その時親は身体的にも精神的にも弱っていることが多いからです。
親は子の勧めるままの施設に入所するでしょうし、子もいまさら将来の財産について希望を話すのは気が引けるでしょう。
こうして子の多くが親を有料老人ホームに入れるのだと思います。
この不合理を避けるためには早めに話し合うこと!
親はお金をかけたくない、子は良い施設に入って欲しい。
しかし結果はどちらも叶わぬこととなってしまう。
このような不合理を避けるためには、親子で早くから話し合っておくことです。
要介護認定を受ける前から、将来の施設について、種別や料金、介護の質についてを親に説明し、また親がどのような終末期を迎えたいかをしっかりと聞いておくことが重要です。

私はすでに両親が他界していますが、元気な時から「子供に介護されたくない。要介護状態になったら最低限の施設に入れて欲しい。」と話してくれました。
そのため私も迷うことも罪悪感もなく、親もある程度満足して旅立ってくれたと思っています。
親から子へは、自ら話のきっかけを持ち出すようにする。子から親へは正直に気持ちを話してみる。
こうすることで、残念な結果から回避できる可能性は格段に増すと思います。
どのような終末期を迎えたいかを含め、将来子へどのように財産を残したいかなどのお話にも応じることができますので、お困りの方はぜひ当事務所へご相談ください。





