不動産購入時に子に持分を持たせたいが…
これから持ち家やマンションを購入しようとするご夫婦が考えることの一つに「子に持分を持たせるか」ということがあります。
不動産購入時に子から資金を提供してもらう場合には、贈与となることを避けるため、提供してもらった資金の割合で持分を渡すということも可能です。
そうすれば将来相続した時の相続税もその割合でかからないことになりますし、一見合理的だと思うでしょう。
しかし、その持分を持たせる子に障害があった場合、後々困った結果になってしまいます。
不動産が一生売れなくなる!?
結論から言うと、
その共有不動産は売ることが困難になります。
親の一生であればまだ良いのですが、親が死んでもまだその状況は続きます。
その障害のある子が亡くなるまで売ることができなくなってしまう可能性もあるのです。
例:家族が共同出資で自宅を購入した場合

上記の場合で、最終的に父も母も亡くなり、長女はグループホームに入所することになり、次女は結婚して家を出ていたとしましょう。
誰も住まなくなったので次女はこの家を売却したいと考えました。
仮に両親が生前に遺言を残しており、次女は両親の持分を全て持っていたとします。

不動産屋から成年後見人をつけてと言われる
上記の状態でまず不動産屋に相談しました。
すると、
「長女さんに知的障害があるので、成年後見人をつけないと売れませんよ。」
と言われてしまいます。
この不動産は長女と次女それぞれが持分を持つ共有不動産となるため、売買には長女と次女の両方が関与しなければなりません。
すると長女に知的障害があることを知られたとたん、このままでは手続きが進められないと不動産屋は判断してしまうのです。
司法書士から成年後見人をつけてと言われる
それでは、次女は「長女の持分をもらえば共有状態から解消されるから、その後売却しよう。」と考えました。
そして司法書士へ相談に行きます。
すると、
「長女さんに知的障害があるので、成年後見人をつけてから家庭裁判所の許可をもらわないと移転登記はできませんよ。」
と言われてしまいました。
長女は登記手続き上「義務者」となります。義務者は権利を失う側であるため、厳格な本人確認が必要となります。
長女に知的障害があるため、司法書士は成年後見人をつけないと手続きできないと判断しました。
自宅を売却するために残された選択肢は3つ!
結局
- 長女に成年後見人をつけてから家庭裁判所の許可を得て自宅を売却する
- 自宅をそのまま放置して長女が亡くなるのを待つ
- 次女の持分だけ売却する
の3択しかなくなります。
まず家庭裁判所の許可を得て売却することについてですが、長女に成年後見人をつけたからといって必ず売却できるわけではありません。
家庭裁判所に売却の申し立てを行うのはあくまでも成年後見人です。
成年後見人が「長女に帰る家が必要である」、「長女は十分な資産を持っていて不動産を売却する必要性が無い」などと考えれば代わりに次女が申し立てを行うことはできません。
また申し立てが行われたとしても、家庭裁判所が同様の理由で売却を許可しない可能性だってあります。
次に長女が亡くなるのを待つことにしても、次女が先に亡くなる可能性もあります。
次女に子がいれば良いのですが、いなかった場合には長女の持分は国に渡ることとなります。
すぐにでも現金化したければ次女の持分(10分の9)だけ売却するという方法もあります。
持分のみの買取をしている不動産業者もありますが、あまり多くはありません。
また10分の9の価値で買い取ってくれる不動産屋はまずいないでしょう。
なぜなら、その不動産は使い道がないからです。
長女の10分の1の持分は残りますから、買い手が自由に処分できる不動産ではありません。
そのため、相場より非常に安い価格で買い叩かれてしまうのです。
障害のある子に不動産の持分は持たせてはならない
というように、障害のある子に不動産の持分を持たせることはできるだけ避けるべきだと思います。
「うちの子は意思能力があるから大丈夫!」と親が思っていても、第三者(不動産業者や司法書士等)は判断することができません。
家を購入する際に、障害のある子の預金が貯まっているという状態はよくあると思います。
その際も、生活費として扶養の範囲で支出してもらうなどとし、不動産の費用の補填には回さないようにしましょう。
当事務所では、新規購入時や相続時に際しての障害のある方の不動産対策についてのご相談を承っておりますので、お困りの方はぜひご利用ください。





