遺言は若いうちから作っておくこと!
家族に障害のある方がいる場合、遺言は若いうちから作っておかないと大変なことになります。
意思能力の無い者が相続人の中にいる場合、その者に成年後見人をつけなければ相続手続を行えません。
例えば父が遺言を作らずに亡くなって、母と兄、弟(重度知的障害)が残された場合、弟に成年後見人をつけて相続手続を行う必要があります。
親がまだ若いうちは「うちでは遺言を作らなければまずいことは分かっているが、まだ作るのは早いな…」と思っている家庭がほとんどだと思います。

理由としては「子が結婚するか、子どもができるかが不明」という点が多いでしょう。
子に配偶者や子どもがいるか否かで財産の移転計画は変わってきます。
それなら子が若いうちはまだ遺言を作らないほうが良いと考えてしまうわけです。
しかし誰にでも起こりうる事で、こういった家庭が一気に窮地に追い込まれることが多々あるのです。
今回は親が若いうちから遺言を作らなければならない理由と、子の将来が未定なうちでも遺言を作る方法を解説していきたいと思います。
事故により遺言を作る前に亡くなると悲劇
人は必ず寿命を全うできるわけではありません。
事故により思わぬ時に亡くなってしまう方もいます。
その事だけでも悲劇ですが、その者の人生だけでなく、残された家族も悲劇に巻き込むことになってしまったケースもあります。
先述した例ですが、父が早くに事故死してしまった場合、障害のある子に早くから成年後見人をつけなければなりません。
成年後見人を早くつけるということは、成年後見人(または監督人)報酬を長く支払うということです。
第三者が成年後見人になった場合は成年後見人に、家族が成年後見人になって後見監督人がついた場合はその後見監督人に報酬を払い続けることになります。
子が50際の時に成年後見人をつけるのと、20歳の時に成年後見人をつけるのでは、30年分の報酬費用の差が出てしまうのです。

相続財産が多ければ多いほどその影響は大きいですが、そもそも成年後見人を早くつけること自体を望まない家族が多いでしょう。
子の将来が分からないのに遺言を作れるの?
では子の将来が分からないうちから遺言を作ることができるのでしょうか?
内容を工夫すれば効果的な遺言は作れます。
下記に不明な事項とその対応方法を説明します。
子が結婚するか子どもができるか分からない
子がまだ十代や二十代くらいの場合、結婚するか否かは不明です。
本人が「絶対結婚する!」、「絶対結婚しない!」と言っていたとしても、それは本人にも分からないことです。
また結婚したとしても子を授かるかどうかは分かりません。
その場合でも有効な遺言を作ることができます。
遺言では「将来発生する人物」を記載することができるからです。

障害者の親なきあと対策のための遺言で重要な点の一つは「予備者」です。
遺言執行をできる者が長男しかいなかった場合、予備者を設定しなければ、長男が親より先に亡くなってしまうと「遺言執行者不在」という状況になってしまいます。
しかし将来の配偶者や子を設定しておけば長男が亡くなっていたとしても、その妻や子が執行者になることができます。
また長男に渡す予定だった財産も、配偶者や子(遺言者からみて孫)に渡すこともできるのです。
ただし将来の配偶者や子を設定しておいても、実際には亡くなるまで結婚しなかった場合はその者は当然いないものとして扱われます。
障害のある子が施設で生活するかもしれない
障害のある子がいても、現在は親と同居して生活している場合、両親のどちらかが生存していれば、同居生活は継続できます。
しかし両親のどちらとも亡くなってしまった場合、入所施設やグループホームに入る可能性が高くなります。
子が施設生活を送るのか、自立生活を行うのかが分からないという場合でも有効な遺言は作成できます。
なぜなら、障害のある子が障害年金(1級でも2級でも)を受給することができれば、基本的にお金を渡さなくても良い場合が多いからです。
入所施設やグループホームの費用は、障害年金が1級でも2級でも、自己負担額はほとんど変わらないところが多いです。
そのため、そのような施設では障害年金さえ受給できていれば、ほとんどお金を持ち出さなくても施設生活が送れるのです。

となると、基本的には障害のない方の子に財産のほとんどを渡すという考えで良いです。
万が一年金を超えて支出する必要があった場合は、障害のない子が多く相続財産をもらった分から扶養の範囲で支出してもらいましょう。
将来親の財産が増えるか減るかが分からない
親の財産が増えるか減るかが分からないためにまた遺言を作らないほうが良いと考えている方も多いと思います。
しかし親の財産の額が増減しても、財産の種類が変わっても遺言の内容は変えずに済ませられます。
そもそも遺言は作成時点の財産から変化することが前提になっています。
誰もが家を売るかもしれないし、新たに銀行口座を開設するかもしれません。
その場合も内容を工夫して記載することで変化に対応した遺言にすることができます。
とにかく若いうちから遺言を作っておくこと
以上、若いうちから遺言を作っておいたほうが良い理由と、その作り方について解説しました。
障害のある子がいる場合、とにかく早く遺言を作成しておいたほうが良いです。
遺言は自分のためではなく、残された家族のために作るものです。
自分が遺言を作るか否かで残された家族が苦しむか苦しまないかが決まるのですから、人生で最後にできる家族への配慮と言えます。
当事務所でも遺言が無いことによる家族の悲劇を多く見てきたため、遺言の必要性の周知に努めております。
多くの実績を活かし、ご家族の事情に合わせた遺言内容を提案することができますので、お困りの方はお早めにご相談ください。


