意思能力や行為能力が無い者でも契約が可能?【成年後見制度の矛盾と急所】

意思能力が無い者の契約も可能 障害者相続のお役立ち情報

意思能力や行為能力の無い人が契約を行うことができるのか

知的障害や精神障害を持っているため、意思能力や行為能力が無い方が契約をすることは可能なのか。

ほとんどの方が不可能と答えると思います。私も法律上は不可能だと思います。

しかし、知的障害者や精神障害者を持っており、意思能力や行為能力が無い状態で契約を行っているという現実は多くあります

なぜなら、「意思能力や行為能力が無く、成年後見人をつけなければ契約が行えない者」であることが明らかとなるケースは限られているからです。

それは、「成年後見人等をつけていることが登記されている」場合です。

これ以外の場合、契約が行えるか否かは裁判所の判断なしには明らかになりません。

明らかに意識が無い、意思表示をすることができない方の場合は契約の相手方が気付くことでしょう。また、意識が無かったり、意思表示をすることができないのであれば契約自体ができません。

現状の福祉サービスにおける契約方法とは

しかし、意思能力や行為能力の有無に疑いがある方でも契約を行っている現状があります

主なものに、「福祉サービス」があるでしょう。

福祉施設の利用をする場合、契約者は障害のある方本人です。親や親族ではありません。福祉サービスの契約は「本人名」で行うことが通常なのです。

ですが、実際のところ福祉サービスの利用や契約についての判断を行っているのはその方の親御さんやキーパーソンとなる親族になっています。

厳密に考えると、意思能力や行為能力が無い方が福祉サービスの契約当事者となることは法律上のリスクがあります。契約は意思能力や行為能力が十分である本人が行わなければならないからです。

障害を持った方が未成年の場合には全く問題がありません。親権者が法定代理人となるからです。しかし、障害を持った方が成人となったとたん、親権者が法定代理人ではなくなってしまいます。この点が現状の知的障害者等に関する福祉サービスの穴となっています。

成人したとたんに成年後見人が必要となる矛盾

ちなみに、「遺産分割協議書は意思能力や行為能力が無い者はすることができない」という当然の考えを貫いてしまうと、福祉サービスの契約も行えなくなってしまいます。福祉サービスも遺産分割協議と同様、「契約」だからです。

さらに、契約には成年後見人等が必須であるといった考えを貫く場合、多くの重度知的障害者の方が「成年となった場面」で成年後見人等をつけなければならなくなってしまうでしょう。成年となった重度の知的障害者の方が一番初めに行うであろう契約が「福祉サービス」の契約となるでしょうから。

しかし、もしそんな厳密な取扱いがされてしまったら、本人やその家族は利益どころか不利益を引き起こしてしまうでしょう。多くの知的障害者の方や精神障害者の方が若いころから成年後見人等をつけなければ福祉サービスが受けられなくなってしまうからです。財産保護の要請がないのに契約を行うためだけに成年後見人等をつけなければならないということは大きなリスクがあります。

親の元気なうちから成年後見人制度を利用するリスク

費用

その一つは費用です。例えば60歳になってから成年後見人をつける場合と、20歳から成年後見人をつける場合、その期間の差は40年です。

成年後見人に対する費用が毎月3万円だとすれば、年間36万円、40年間で1440万円となってしまいます。

これを重度の知的障害者のお子さんのいらっしゃる家庭が支払わなければならないとなると、大きな負担どころではありません。家庭が破たんするほどの額と言えるでしょう。

大変な事務と財産管理

もちろん無報酬として家族や親族が成年後見人となるのであれば、費用の面では問題がなくなるのかもしれません。

しかし、家族や親族が成年後見人等になった場合、費用以外で大きな負担となるのが事務の膨大さと財産管理の厳格化です。

ご家族等で成年後見人になった方から多く聞かれるのが、「事務の負担」です。本人の収入から支出までを事細かに記録しなければなりません。家庭裁判所に報告する義務がありますから。

細かく記録できれば良いのかというとそうでもありません。支出については厳密に後見監督人から監視されます。家族等が後見人になっても、第三者の目が厳しく光っているのです。これも家族が成年後見人等になったケースで良く聞かれる問題です。

もちろんそれが成年後見制度の趣旨である、「本人保護」のためなのですから法律上は良くできた仕組みだと思います。しかしその家庭にとってはパニックを引き起こしかねない危険性もはらんでいるのです。

成年後見制度が発展していくためには

成年後見制度は本来国民の福祉のための制度です。しかし本人保護のために、家族が苦しむこととなってしまうという矛盾が生じてしまうケースがあるため、簡単に成年後見制度を考えてしまうことは大変危険と言えます。

「親が健在でも福祉サービスの契約は成年後見人が行わなければならない」なんていう時代はすぐには訪れないと思います。今後はどの家庭でも過剰な負担なく、障害をお持ちのお子さんを保護していくことができる仕組みが作られることが必須となるでしょう。

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