障害のあるお子さんをお持ちの親御さんにとって、避けては通れないのが「自分が亡くなった後、この子はどうやって生活していくのだろう」という「親なきあと問題」です。当事務所では、これまで「親なきあと」や障害者相続を専門として、多くのご家族を支援してまいりました。
その中で、強く実感したことがあります。それは、「お子さんが未成年のうちから、正しい資産管理と将来の計画に関する知識を得ておくことが、将来の失敗を防ぐ唯一の手段である」ということです。
こうした背景から、当事務所では、障害のある「未成年」のお子さんを持つご家庭に特化した個別カウンセリングサービスを開始いたしました。

なぜ、子どもが未成年のうちに対策を始めなければならないのか。よくある2つの決定的な失敗パターンを挙げながら、早期に知識を得ることの重要性を詳しく解説します。
なぜ、子どもが「未成年」のうちにカウンセリングが必要なのか?
多くの親御さんは、「お金の管理や相続のことは、子どもが大人になってから(あるいは自分たちが老いてから)考えればいい」と後回しにしがちです。しかし、法律と実務の仕組みは、そうした先延ばしを許してはくれません。
そこには「成人(18歳)の壁」が存在します。
お子さんが未成年のうちは、親は「親権者(法定代理人)」として、お子さん名義の銀行口座の開設や福祉サービスの契約、お金の出し入れなどを適法に、何の問題もなく代理で行うことができます。

しかし、お子さんが成人した瞬間、親の親権は法律上、自動的に消滅します。 成人後は、たとえ親子であっても法的には「個別の大人同士」です。そのため、本人の意思能力(判断能力)が不十分である場合、成人後に親が代わってお金を引き出したり、福祉サービスの契約を結んだりしようとすると、窓口で「本人の意思確認ができないため、手続きできません。成年後見人をつけてください」と拒否されてしまうのです。
未成年のうちは「何の問題もなく親が代理で手続きできる」からこそ、多くのご家庭が将来のリスクに気づかないまま過ごしてしまいます。そして、成人した瞬間に「突然、我が子の口座からお金が下ろせなくなった」という窮地に直面します。
だからこそ、親権という法的な武器があり、親御さんも若く健康で動きやすい「未成年のうち」に、正しい仕組みを理解して備える必要があるのです。
失敗ポイント①:銀行口座を作る段階で失敗してしまう
お子さんの将来を心配し、早い段階で「子ども名義の銀行口座」を作る親御さんは非常に多いです。しかし、この口座開設の時点ですでに、将来「口座が凍結して一切お金が下ろせなくなる」という致命的な種を蒔いてしまっているケースが後を絶ちません。
よくある失敗が、「キャッシュカードを作らず、通帳と印鑑だけで管理する」、あるいは「暗証番号を共有・管理していない」というものです。
子が未成年のうちは、通帳と印鑑を持って窓口に行けばお金を下ろせます。しかし、成人後は窓口で「本人の意思確認・署名」が厳格に求められるため、本人が対応できなければ窓口での引き出しは一切拒否されます。
これを防ぐ現実的な防衛策が、「未成年のうちに必ずキャッシュカードを作り、暗証番号を家族間で確実に管理しておくこと」です。キャッシュカードがあれば、成人後であってもATMから日常の生活費や福祉サービスの利用料をスムーズに引き出すことができ、当面の資金ショートを防ぐことができます。

さらに、キャッシュカードの「磁気不良や紛失」という不測の事態にも備えなければなりません。 長年カードを使っていると突然読み取れなくなることがありますが、この再発行を成人後に窓口で行おうとすると、本人の署名や意思確認が求められ、そこで手続きがストップしてしまいます。
このリスクを回避するために、今のうちから「ネット口座(インターネットバンキング)」を開設し、資金凍結の回避ルートを複数用意しておくことが、極めて重要な対策となります。
失敗ポイント②:将来のお金の残し方(貯蓄・贈与)で失敗してしまう
親御さんの「この子に少しでも多くの資産を遺してあげたい」という優しい親心。実は、これが将来、数千万円単位の財産を「ただの凍結財産」にしてしまう最大の引き金となっています。
「子どもの口座にせっせと貯金する」「親が生活費を支払い、支給される障害年金や手当に一切手を付けず子どもの口座に丸々貯めこむ」という行為は、障害のあるご家庭においては「百害あって一利なし」と言えるほど危険な行為です。

- 「名義預金」とみなされ、相続税対策が無効になる 親が子どもの口座に暦年贈与のつもりでお金を移し続けても、子ども自身に管理能力がない場合、税務署の調査で「実質的に親が管理している預金(名義預金)」とみなされ、親の死亡時にすべて親の財産に持ち戻されて相続税が課税されます。
- 高額な「成年後見人報酬」で貯蓄が費消される 子どもの口座に数千万円ものお金が貯まった状態で、いざお金を引き出すために成年後見人をつけざるを得なくなった場合、成年後見人の毎月の報酬額は「本人の財産額」等を基準に決定されます。預金額が多ければ多いほど、一生涯にわたって高額な報酬が本人の口座から引かれ続けるため、「後見人に支払う報酬のために必死に貯金をしていた」という不条理な結果に陥ります。
- 最後はすべて「国」に没収される(国庫帰属) お子さんが一生かけても使い切れないほどのお金を抱えたまま亡くなった際、もし本人が一人っ子で身寄りがいなかったり、兄弟姉妹がいてもその子ども(甥・姪)がいなかったりした場合、その財産を引き継ぐ人は誰もいなくなります。結果として、何千万円というお金が最終的には「国庫に帰属」してしまいます。
💡 カウンセリングで提案する「正しいお金の流れ」
これらの悲劇を防ぐ正しい対策は、「子どもの口座にむやみに貯金をせず、障害年金は日々の生活費として率先して使い切る。そして親の財産は親名義のまま手元に温存する」というサイクルに変えることです。
親の手元に現金を残しておけば、将来「遺言」を作成することで、本人のサポートを託す健常な兄弟姉妹等に財産を多めに相続させ、家族の裁量で本人のために柔軟にお金を使ってもらう仕組みを作ることができます。
また、適正な遺言を作っておくと、相続が発生した際に、強力な減税制度である「障害者控除」の枠を効果的に使うことができます。不動産や有価証券などの重要財産や口座開設が必要な多額の預金を渡すことで成年後見人をつけることにならないよう、内容を工夫する必要があります。

障害のある未成年の子がいる家庭のカウンセリング費用等
相談方法
メール・電話・ズーム・直接面談等(予約が必要になります)
料金
22,000円(税込)
※直接面談も全国対応で出張可能ですが、場所に応じた出張料(交通費および日当等)が必要になります。
時間
1時間~2時間の範囲内
準備していただくもの
特にありませんが、お子さんの障害の程度や家族・親族関係は把握していただいておく必要があります。
早い段階で「正しい知識」を得ることが、家族の未来を救う
お子さんの将来を想う親御さんの「良かれと思って」の行動が、数十年後にお子さんや残されたご家族を縛り付ける枷(口座凍結や高額な後見報酬、財産の国没収)になってしまうのは、あまりにも悲しい現実です。
しかし、このような「障害のある子を持つ家庭特有のお金のルール」は、銀行も、福祉施設の職員も、国も事前に教えてはくれません。

今回スタートした「未成年の子がいる家庭のための個別カウンセリング」では、お子さんの現在の年齢、障害の程度、ご家族構成、将来の希望などを丁寧にお伺いし、将来も財産を無駄にすることなく、成年後見制度に縛られない「我が家だけの最適なお金の管理・残し方」のビジョンを具体的に設計します。
お子さんが未成年である「今」だからこそ、修正できること、準備できることが無数にあります。
「まだ早い」ということは絶対にありません。間違った方法でお金を貯めこみ、将来後悔してしまう前に、ぜひ一度、当事務所へ正しい備えの方法をご相談ください。


