簡単!【家庭環境別】「親なきあと対策」チェックフローチャート

障害者の将来(親なき後問題)

障害のあるお子様を育てるご家族にとって、「自分たちが亡くなった後、この子はどうなるのだろう」という『親なきあと』の不安は尽きない悩みかと思います。

しかし、「親なきあと対策」と一口に言っても、最適な方法は各ご家庭によって全く異なります。お子様が一人でどのくらいのことができるのか、サポートをお願いできるご家族や親族はいるのか、残せる財産は不動産と預貯金のどちらが多いのかなど、ご家庭を取り巻く環境によって取るべき対策は大きく変わってくるからです。

つまり、親なきあと対策の第一歩は、まず「自分たち家族の環境を正確に把握すること」にあります。 そこで、ご自身のご家庭が現在どのような状況にあり、どのような対策を優先すべきなのかを知るためのチェックフローチャートを作成しました。まずは以下の質問に答えて、ご家庭に合った対策の方向性を確認してみましょう。

※状況により他の診断も参考にして自分の家庭の状況に必要な対策を知ってください。

  1. 【START】 Q1:ご家族(将来の相続人同士)の仲は良いですか?良好な関係ができていますか?
  2. Q2:障害のあるお子様は「一人っ子」ですか?(健常のごきょうだいがいますか?)
  3. Q3:(一人っ子の場合)障害のあるお子様は「施設生活」ですか、「自立生活(自宅等)」ですか?
  4. Q4:(きょうだいがいる場合)障害のあるお子様と健常のごきょうだいは、離れたところに住んでいますか?(または将来離れて住むおそれはありますか?)
  5. Q5:障害のあるお子様は「障害年金」を受給していますか?(または将来受給できそうですか?)
  6. Q6:親が残す予定の財産において、「預貯金」と「不動産」のどちらの割合が大きいですか?
  7. 診断結果と具体的な「親なきあと対策」
    1. 【診断A】親族間トラブルのリスクあり!「遺言書」による確実な対策と「成年後見制度」の検討を
    2. 【診断B】一人っ子・施設生活型:施設との契約継続と「頼れる親族」の確保
    3. 【診断C】一人っ子・自立生活型:居住権の確保と「日常生活自立支援事業」の活用
    4. 【診断D】きょうだい遠方型:キーパーソンとの連携と外部サポートの併用
    5. 【診断E】障害年金未受給型:まずは受給要件の確認と、厳密な生活資金のシミュレーションを
    6. 【診断F】不動産偏重型:共有名義は絶対に避ける!代償金を含めた遺言の作成
    7. 【診断G】預貯金豊富型:無闇に本人名義の貯金をせず、きょうだいに財産を託す
  8. まとめ

【START】 Q1:ご家族(将来の相続人同士)の仲は良いですか?良好な関係ができていますか?

Q2:障害のあるお子様は「一人っ子」ですか?(健常のごきょうだいがいますか?)

  • 一人っ子 ──→ Q3へ
  • きょうだいがいる ─→ Q4へ

Q3:(一人っ子の場合)障害のあるお子様は「施設生活」ですか、「自立生活(自宅等)」ですか?

Q4:(きょうだいがいる場合)障害のあるお子様と健常のごきょうだいは、離れたところに住んでいますか?(または将来離れて住むおそれはありますか?)

Q5:障害のあるお子様は「障害年金」を受給していますか?(または将来受給できそうですか?)

  • 受給していない(できない) ──→ 【診断E】へ
  • 受給している(できる) ──→ Q6へ

Q6:親が残す予定の財産において、「預貯金」と「不動産」のどちらの割合が大きいですか?

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診断結果と具体的な「親なきあと対策」

【診断A】親族間トラブルのリスクあり!「遺言書」による確実な対策と「成年後見制度」の検討を

ご家族間の仲があまり良くない場合や、意見の対立が予想される場合、最も恐れるべきは「遺産分割協議の無効主張」です。障害のあるお子様に意思能力が不十分な場合、後から他の相続人に「あの遺産分割は無効だ」と訴えられ、これまでの手続きが全て覆されてしまうリスクがあります。

<対策>

  • 将来の争いを防ぐため、親が元気なうちに必ず「遺言書(できれば公正証書遺言)」を作成し、財産の分け方を明確に指定してください。
  • トラブルが避けられないと予想される場合は、かえって本人の権利を守るためにあらかじめ「成年後見人」を選任しておく方が安全なケースもあります。
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【診断B】一人っ子・施設生活型:施設との契約継続と「頼れる親族」の確保

一人っ子でご両親が亡くなると、お子様をサポートする家族が誰もいなくなってしまいます。施設に入所している場合、親亡きあとに誰が施設との契約を継続・更新するかが最大の課題となります。

<対策>

  • 親戚(甥や姪など)に協力をお願いできる場合は、親の元気なうちに「養子縁組」を行い、法的なきょうだい関係を作っておくこともできます。その際、サポートの対価として遺産を多めに渡すなどの配慮(遺言の作成)が必要です。
  • 身寄りがない場合は、遺言により施設への遺贈(財産を寄付する代わりに面倒を見てもらう等の相談)を検討するなど、最終的には成年後見人をつけることを前提に資金計画を立てる必要があります。
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【診断C】一人っ子・自立生活型:居住権の確保と「日常生活自立支援事業」の活用

一人っ子で自宅などで生活を続ける場合、住居の確保と日々の金銭管理のサポートが急務です。賃貸物件の場合、親亡きあとの契約更新で管理会社の審査が入り、障害を理由に成年後見人を求められるリスクがあります。

<対策>

  • 持ち家であれば、そのまま住み続けられるよう手続きの準備をしておきましょう。ローンは親が生前に完済し、抵当権の登記を抹消しておくことを忘れないようにしましょう。
  • 賃貸物件の場合は生前に子がこのまま契約を更新できるかを管理会社に確認しておきましょう。難しい場合は早めにグループホーム等の施設を探しておくことが必要です。
  • 成年後見人をつけずに自立生活を送るための強力な支援として、社会福祉協議会が行っている「日常生活自立支援事業」の利用を検討してください。ご本人に契約能力があれば、廉価な料金で金銭管理や日常のサポートが受けられます。
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【診断D】きょうだい遠方型:キーパーソンとの連携と外部サポートの併用

健常なごきょうだいがいても、遠方に住んでいる場合は日々の生活サポートや金銭管理を行うことが困難になります。

<対策>

  • 自立生活を送っている場合はホームヘルプサービスや社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」などを併用する仕組みを作りましょう。住居については【診断B】および【診断C】を参考にしてください。
  • 施設や福祉機関に対して、遠方であってもきょうだいがキーパーソンとして関わる旨を事前に理解してもらうよう、親が元気なうちに関係性を構築しておくことが重要です。
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【診断E】障害年金未受給型:まずは受給要件の確認と、厳密な生活資金のシミュレーションを

障害年金は、親なきあとの生活を支える最も重要なベースとなります。受給できない場合、親の残した財産だけで長期間の生活費や施設利用料を賄わなければならず、資金が枯渇するリスクが高まります。

<対策>

  • 精神障害などの場合、「障害者手帳がないから受給できない」と誤解されているケースもあります。まずは年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談し、受給要件を満たしていないか確認しましょう。
  • どうしても受給できない場合は、親の財産をどのように運用して一生涯の生活費を確保するか、生命保険(親が亡くなった際に一時金が入る仕組み)の活用なども含めた厳密な資金計画が必要です。
  • 親が若いうちであれば、親が加入し将来子が受け取る金融商品もありますので、検討しましょう。
  • 最終的には生活保護を受給することも検討し、「なぜ働けないのか」を担当課に説明しておけるようにしましょう。
  • 障害年金を受給していなくても利用できる就労移行施設などもありますので、できるだけ家にひきこもることの無いよう生活できるようにしましょう。

【診断F】不動産偏重型:共有名義は絶対に避ける!代償金を含めた遺言の作成

親の財産が自宅の土地・建物など「不動産」に偏っている場合、法定相続分で分けると障害のあるお子様と健常なごきょうだいの「共有名義」になってしまうリスクがあります。

<対策>

  • 障害のあるお子様に不動産の持分を持たせると、将来その不動産を売却したりリフォームしたりする際に、お子様本人の単独の意思では手続きができず、事実上処分が不可能になる(または成年後見人が必要になる)事態に陥ります。
  • 成年後見人をつけたくないからといって不動産を共有状態にしてしまうのは絶対にやめましょう。将来売却したくなってもできなくなってしまいます。
  • 「遺言書」を作成し、不動産は健常なごきょうだいに単独で相続させましょう。その上で、不動産を取得したごきょうだいが、障害のあるお子様に対して現金を支払う(代償金)などの方法でバランスをとることもできますが、遺留分を無視した遺言内容も法的に有効です。
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【診断G】預貯金豊富型:無闇に本人名義の貯金をせず、きょうだいに財産を託す

「障害のある子の将来が心配だから」と、子名義の口座に多額の現金を貯め込んでいるご家庭は要注意です。

<対策>

  • 障害のあるお子様に多額の現金を相続させても、ご自身で管理・活用できなければそのお金は事実上凍結されてしまいます。また、そのお子様が亡くなった際、配偶者や子がいなければ、最終的にその多額の財産はごきょうだいの家族ではなく「国庫(国)」に渡ってしまうリスクがあります。
  • 障害年金を受給している場合は、今のうちから年金を生活費として優先的に使っていきましょう。
  • 親の財産は遺言によって健常なごきょうだいに多めに相続させ、「本人の生活支援のために使ってほしい」と託す(家族名義で管理する)方法が、ご家族全体の財産を守る上で非常に有効です。
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まとめ

診断結果はいかがでしたでしょうか。このフローチャートはあくまで一つの目安ですが、ご自身のご家庭にどのような準備が必要になるのか、そのヒントが見えてきたのではないでしょうか。

複数の状況が当てはまる場合は、それぞれの対策を組み合わせて検討する必要があります。

親なきあと対策において絶対に忘れてはならないのは、「親なきあと対策は、自分の死後にはできない」ということです。親が元気で、判断能力があるうちにしか、遺言の作成や生活基盤の構築といった準備を進めることはできません。

また、世の中の多くの専門家は「障害があるなら必ず成年後見人が必要です」と一律に判断してしまいがちですが、ご家族の状況に合わせた事前の対策をしっかりと行っておけば、成年後見人をつけずに済んだり、つける時期を先延ばしにできたりするケースは十分にあります。

まずは、「障害のある子を持つ親専用エンディングノート」などを活用して、ご家族の状況や財産、福祉サービスとの関係性などを整理し、元気な「今」だからこそご家族で話し合うきっかけにしてみてください。そして、ご家庭の状況に合わせた具体的な対策や遺言書の作成について不安がある場合は、障害者の相続や親なきあと問題に詳しい専門家へ早めにご相談されることをお勧めします。

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