親なきあとの墓じまいにかかるお金は400万円以上!【障害のある一人っ子を持つ家庭の例】

高齢期の対策

墓じまいは意外にお金がかかる!

世間に認知されてきた言葉「墓じまい」

現在あるお墓を畳む(無くす)という意味ですが、出生率の低下が進む日本では該当する家庭も増加し、他人事では無くなってきました。

しかしこの墓じまいという言葉はざっくりとしすぎて実際はどんなことをすれば良いのかがわかりません。

お墓を無くすという行為一つでもやらなければならないことは沢山あるし、墓を無くした後にも入っている遺骨を捨ててしまうわけにもいかないでしょう

今回は、墓じまいの流れとそれにかかるお金について、具体例を挙げて解説していきたいと思います。

ケース:障害のある一人っ子の家庭

それでは、父(70歳)母(65歳)長女(45歳、重度知的障害あり)の三人家族を例に墓じまいの流れと金額を解説していきます。

今ある墓&遺骨の引っ越し

現在お寺の檀家となっており、そこにお墓を持っています。

墓じまいをするには、このお墓を撤去して永代供養に切り替えなければなりません

なぜなら、この家庭では現在存在する家族以外にお墓を承継する者がいない見込みであるため、将来このお墓が無縁墓(管理する者がいない墓)になってしまうからです。

お寺だって墓石をそのままにして永久に建てておくわけにはいきません。

そんなことが一般化されたらお寺はやっていけないからです。

管理する者がいなくなった墓石は撤去し、新たな檀家を迎え入れなければなりません。

墓の撤去

まず現在のお墓の承継者である父が、お寺に申し出ます。

父が亡くなった後、母が申し出るということもできますが、母が亡くなってしまうともう手遅れです

重度知的障害のある長女には意思能力が無いからです。

そのため、両親が生存しているうちに対応しておくことが必要です。

お寺に申し出るのは

「将来お墓を継ぐ者がいなくなるので、お墓を撤去したい。そのため埋葬証明書が欲しい。」

ということです。

通常であればスムーズに認めてくれると思いますが、「離檀料」ということでいくらかのお金を請求されることもあります。

常識的な金額であれば良いのですが、高額な離檀料を請求され、裁判となることもありますので注意が必要です。

自治体から改葬許可を得る

その後改葬許可申請書という書類を作成し、自治体の窓口に提出します。

この改葬許可申請が認められると新たな場所へ遺骨を移動できるようになります。

舞鶴市HPより

しかし撤去前に行っておかなければならないことは、「遺骨の移転先」を確保することです

新たな墓石を建てるために改葬許可を得ることもありますが、墓じまいの手続きですと「永代供養先」を確保する必要があります。

現在のお墓で対応してくれることもありますし、市営霊園などで対応不可の場合は、新たなお寺を探す必要があります。

永代供養先が確保でき、行政から改葬許可が得られたら実際に墓石を撤去します。

墓石の撤去は墓石業者に依頼するほかありませんが、墓石の撤去にかかるお金は60万円〜70万円は見ておく必要があります。

また遠方に墓石を移動するなどの事情がある場合は運搬費用がかなり増加しますが、墓じまいの場合ですと墓石を処分してもらうだけですので、中に入っている遺骨を預かるだけで済むことがほとんどでしょう

永代供養先への納骨

次は遺骨を永代供養先へ納骨します。

ここでかかる費用は「納骨に関しての供養料」です。

新たなお寺の永代供養墓に入るためにお坊さんに供養を行ってもらいます。

また「永代供養料」も必要です。

お寺によりますが、今後墓の承継者が亡くなっても供養を続けていってもらうための費用です。

納骨および永代供養にかかる費用は50万円〜70万円をみておくと良いでしょう。

残された子についての手続き

父、母が亡くなった後、障害のある長女をみていってもらうために必要な手続きは、

  • 施設入所
  • 成年後見
  • 死後事務委任

などが挙げられます。

生きているうちは施設で生活を送り、成年後見人が本人に関する手続きおよび財産管理を行います。

しかし成年後見人は本人が死亡したら任務は終了するため、死後の手続きを行う権限は一切ありません

そのため、親が生存しているうちに、子が亡くなった後の葬儀や片付けの手続きを依頼しておくことが必要になります。

死後事務委任契約とは、本来は自分自身の死後の手続きを行ってもらう契約ですが、障害のある長女は意思能力が無いため契約を結ぶことができません。

成年後見人に行ってもらえば良いのですが、成年後見人にはそのような義務もありません。

そのため、信頼できる者を親が探し、頼んでおくことが必要になります

その者とは、片方の親が亡くなった後に、もう片方の親が亡くなった場合のその者に関しての死後事務手続きおよび子が亡くなった後の死後事務手続きの2つになります。

前者に関しては公正証書で契約書を作成するために10万円程度、死後事務委任自体で30万円程度を見込んでおきましょう

ただし実際にかかる費用(住んでいた家の片付け、葬儀等)は別途になります。

そして長女が亡くなった際ですが、施設で生活していた場合であれば、両親の入っている永代供養墓への納骨手続きだけで済むことが多いでしょう。

供養料は親が生存している際に支払っておくことになるので、基本的には費用はかかりません。

ここで問題になるのが「子の火葬を行う者を指定する権限が親にあるのか」ですが、行政や成年後見人としても、あらかじめ親が依頼していた者に手続きを任せるのが最も楽であるので、反対される可能性はそれほど高くは無いと思います(それでも自分の結託している業者などに依頼することを求めてくる悪質な者がいないとは言えません)

両親の遺言が必須となる

今回のケースでは、両親がそれぞれ遺言を作成しておくことが必須となります。遺言を作成しておかないと、両親のどちらかが亡くなった際に子に成年後見人がつくことになるからです

両親が亡くなり、子が一人になった時に成年後見人がつくことはやむを得ません。むしろそれが理想だと思います。

しかしどちらかの親が生きており、できるだけ親が本人をみたいという場合は遺言の作成が必要となります。

遺言の作成費用は専門家に依頼して公正証書で作成する場合、最低でも30万円をみておくと良いでしょう(財産額により費用は追加されます)。

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最低限必要な手続きと金額

以上をまとめると以下の通りです。

  • 墓石の撤去 70万円
  • 納骨供養にかかる費用 1人当たり20万円
  • 永代供養にかかる費用 1人当たり70万円
  • 死後事務委任にかかる費用 1人当たり40万円
  • 遺言の作成にかかる費用 1人当たり30万円
  • 家の片付けにかかる費用 40万円

家族3人全ての手続きを行うとすると、400万円以上になることが見込まれるため、それだけの資産を確保しておかなければなりません。

もちろん業者やお寺、専門家によって金額は異なりますが、最低限必要な金額だけでも相当な額になることが分かったと思います。

しかし障害のある子が一人残される場合、その死後まで安心できる体制を整えておくことは親の務めでもあるため、できるだけ早くから準備しておく必要があると思います。

当事務所では、各所と連携し、お墓の撤去から永代供養、死後事務委任、遺言作成、相続手続まで、一連の手続きを支援しておりますので、お困りの際はお早めにご相談ください。

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