障害のある子の銀行口座を作る際に必ずやっておかなければならないこと3つ!【数千万円損をすることも…】

障害者の将来(親なき後問題)

障害のあるお子さんをお持ちの親御さんにとって、「自分が亡くなった後、この子はどうやって生活していくのだろう」という不安は、一時も頭を離れることのない深刻な問題です。そのため、多くの方が「今のうちに少しでも多くの現金を我が子の口座に残してあげたい」という親心から、お子さん名義の銀行口座を作り、特別児童扶養手当や障害年金などをコツコツと貯金されています。

しかし、これが将来、ご家族全員を窮地に追い込む「大トラブル」の引き金になりかねないという事実をご存知でしょうか?

実は現在、「良かれと思って子供の口座に貯めていたお金が、一切下ろせなくなってしまった」「銀行口座が凍結されてしまった」というご相談が当事務所に急増しており、一種の社会問題と化しています。

この記事では、障害のあるお子さんの将来を守るために、口座管理において親が絶対に知っておくべき失敗例と、必ずやっておかなければならない「3つのこと」を具体的に解説します

障害のある子の銀行口座はこう作るのが正解!一歩間違えると一切下ろせなくなります
はじめに:親の「良かれと思って」が、将来の口座凍結を招く障害のあるお子さんの将来を心配し、「自分が元気なうちに、少しでも多くのお金を残してあげたい」と考えるのは、親として当然の愛情です。その愛情から、お子さん名義の銀行口座を作り、コツコツと…

なぜ口座が凍結されるのか?数千万円を貯めこんだ先に待つ悲劇

当事務所には、以下のようなご相談が実際に多数寄せられています。

  • 相談例 Aさん 「障害のある子の将来のために、子の口座に少しずつお金を貯めていたら2000万円ほどになっていました。自宅をバリアフリーにリフォームするため、その口座から500万円を引き出そうとしたのですが、銀行から『成年後見人をつけないと引き出せません』と言われてしまいました。どうすればいいですか?」
  • 相談例 Bさん 「子の障害年金には手を付けず、親が子の生活費を支払って、年金を全額子の口座に貯めていました。3000万円ほど貯まっていますが、まとまったお金が必要になって銀行に行きましたが、やはり『成年後見人をつけてから手続きしてください』と言われてしまいました。」

親御さんが我が子への深い愛情から、何年も、何十年もかけてコツコツと貯めこんできた「数千万円」のお金。それにもかかわらず、いざ使おうとしたときに親ですら引き出すことができず、事実上の「凍結財産」になってしまっているのです

法律や銀行のルールは、驚くほど杓子定規です。 銀行口座の預金は、口座名義人である本人のものです。たとえ実質的にお金を出したのが親であっても、口座名義人本人が窓口で意思表示をしたり、署名したりすることができない場合、銀行は「本人の財産を守るため」として、口座からの出金や解約を拒否し、口座を凍結してしまいます。

そして、一度凍結された口座の制限を解除するためには、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」をつける以外の選択肢がなくなってしまいます。

こうした悲劇を避けるために、親御さんが今すぐ実践すべき「3つの絶対ルール」を解説します


鉄則①:必ずキャッシュカードを作り、暗証番号を忘れないこと

お子さん名義の銀行口座を新規に作る際、またはすでにある口座を管理する際、必ず「キャッシュカード」を作っておくことが絶対条件です。

「どうせ子どもが自分でATMを使ってお金を下ろすことはできないから」と、通帳と印鑑だけで管理し、必要になったら窓口で引き出せばいいと考えている親御さんは非常に多いです。しかし、ここに最大の落とし穴があります。

お子さんが未成年のうちは、親が「法定代理人(親権者)」として、窓口で本人の代理としてお金を引き出すことができます。しかし、お子さんが成人(18歳)に達した瞬間、親の親権は自動的に消滅します

成人後、銀行窓口でお金を引き出そうとすると、銀行は名義人本人の「意思確認」「署名」を厳格に求めます。その際、お子さんが意思表示をすることが難しいと判断された場合、親であっても手続きは拒否され、「成年後見人を立ててください」と案内されるのです。

しかもその判断は銀行です。

これを回避する現実的な対策が、「キャッシュカード」を必ず作っておき、その暗証番号を家族間でしっかりと共有・管理しておくことです。 普通預金口座であれば、キャッシュカードと暗証番号さえあれば、窓口の厳しい確認を経ることなく、ATMから日々の生活費や福祉サービスの利用料などを引き出すことができます(子が成人になったら子の承諾を得て)。親が元気なうちにキャッシュカードを作成し、暗証番号を家族間で共有しておくことが、当面の生活資金を確保する唯一の命綱となります。


鉄則②:インターネット口座(ネットバンキング)を開設し、「もう一つ」口座を持っておくこと

キャッシュカードを作っておけばとりあえず一安心、と思いがちですが、そこにもまだ想定外の落とし穴があります。それは、長年使っている「カードの磁気不良」や「紛失」という不測の事態です。

カードが突然ATMで読み取れなくなったり、紛失してしまったりした場合、銀行の窓口でカードの再発行手続きを行わなければなりません。 この際、窓口では再び「本人の署名」や「顔写真付き身分証明書による厳格な本人確認」を求められます。本人が窓口に赴くことが難しく、自分で署名ができない場合、やはり再発行の手続きがストップし、その時点で口座からお金を下ろすことができなくなってしまいます。

この磁気不良や紛失リスクに備えるための強力な対策が、日常口座にプラスして「インターネット口座(ネットバンキング)」を開設できるようにしておくことです。 あらかじめネットバンキングを使える状態にしておけば、万が一カードが使えなくなっても、スマートフォンやパソコンからログインすることで、親や兄弟名義の口座へお金を送金し、そちらの口座からお金を引き出すという回避ルートが作れます。

また、将来的にお子さんが施設(グループホームなど)に入所した際、日々の利用料の引き落とし専用の口座と、万が一口座が凍結されたときの予備、あるいは年金の振込先を変えることになったときに備える口座として、性質の違う複数の口座を持っておくことをお勧めします。


鉄則③:お子さんの口座にお金を使わず「貯めこまない」こと

最も重要であり、ほとんどの方が知らないことが「お子さん名義の口座にお金を貯めこまない(貯蓄をしない)」という鉄則です。

「この子の将来のために」と親御さんがせっせと自分の現金を子供の口座に移したり、本人の障害年金や手当に一切手をつけずに丸々貯めこんでいく行為は、実は「百害あって一利なし」の非常に危険な行為です。その理由は、以下の4つの大きすぎるリスクがあるからです。

  1. 成年後見人への報酬が高くなり、貯蓄が報酬で消える 万が一、お子さんに「成年後見人(R8現在)」をつけざるを得なくなった場合、成年後見人に支払う報酬額は「本人の財産額」を基準に家庭裁判所が決定します。 つまり、親御さんがお子さんのためにと必死に数千万円ものお金を口座に貯めこんでいればいるほど、毎月の後見人報酬は跳ね上がります。結果的に「成年後見人への高額な報酬を支払うために貯金をしていた」という形になるため、貯蓄が意味を為さないことにもなりかねません
  2. 税務署から「名義預金」とみなされ、相続税対策にならない 「子供名義だから、親の相続税の対象外になるだろう」というのも大きな誤解です。 お子さん自身が自分で通帳を管理できず、実際にお金を管理・支配しているのが親である場合、税務署はこれを実質的に親の財産である「名義預金」と判定します。 親御さんの相続発生時に、子供名義の貯金はすべて親の遺産に持ち戻されて相続税が計算されるため、全く節税になりません
  3. 最後は「国」に没収される(国庫帰属) 最も悲しい現実がこれです。 お子さんが親から受け継いだ財産や貯めこんだ多額の障害年金を使い切れないまま亡くなったとします。 もしそのお子さんが「一人っ子」だったり、健常なきょうだいがいてもそのきょうだいに子供(甥・姪)がおらず先に亡くなったりした場合、その財産を相続する権利がある人は原則誰もいなくなります。 相続人がいない財産は、最終的にすべて「国庫に帰属(国に没収)」されてしまいます。家族のために残したはずのお金が、全くの他人の手に渡ってしまうことになるのです。
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【解決策】「お子さんの障害年金を率先して、本人の生活費に使い切る」

では、どうするのが正解なのでしょうか? それは、「お子さん名義の口座には必要以上のお金を貯めず、振り込まれる障害年金を日々の生活費や施設利用料に率先して使い切る」というサイクルを作ることです

障害年金は本来、本人の生活を支えるためのものです。 日々の生活にかかる実費は、お子さん本人の口座(障害年金)からすべて支出し、親の財産(現金)は減らさずに「親名義の口座」のまま親の手元に温存しておきます。贈与をしたいのであれば、障害の無い子の方に毎年少しずつ渡していきます。

親名義のまま現金を残しておけば、「遺言」を作成することによって、本人の世話をしてくれる健常なごきょうだいに現金を多めに相続させ、「本人のサポート費用に使ってほしい」と頼み、柔軟に活用してもらう仕組みを適法に作ることが可能になります。

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まとめ:親の「良かれと思って」を、正しい「法的な備え」へ

お子さん名義の口座に多額のお金を貯めこむことは、一見安心なように思えて、実は「口座凍結」や「成年後見制度への巻き込み」、そして「財産の国庫没収」という大きなリスクを抱える原因となります。

親なきあとにお子さんを本当に守るためには、今すぐ「お金の流れ」を見直し、本人の口座をシンプルに整え、親の資産を親名義で正しく守る対策を行うことが何よりも重要です

お子さんが若いうちは「まだ先のこと」と考えがちですが、不慮の事故や病気はいつ訪れるか誰にも予測できません。親御さんが健康で動ける「今」だからこそ、正しい備えをスタートさせてください。

当事務所では、ご家庭の状況(障害の程度、家族構成、財産の種類など)に応じた個別の「親なき後の資産計画カウンセリング(有料)」を承っております。

障害者専門の相続手続相談・カウンセリングを行っています【知的障害・精神障害】
行政書士花村秋洋事務所では、社会福祉の現場経験豊富な行政書士が知的障害や精神障害がある方が相続人に含まれているケースの相続手続について、専門的知識を取り入れた相談・カウンセリングを行っています。お困りの方はぜひ一度ご利用いただけると幸いです。

※なお「うちはどのようにして財産を管理したらいいの?」などの簡単なご相談をメールやお電話で行う場合は基本的に無料です。

「我が家の場合、どのように口座を管理し、どのようにお金を残せばいいのか?」と不安に思われる方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

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